P9 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
柳 おん那
や奈ぎ
やなぎおんな
若 き女 の児をい多゛きて風 のは个゛しき日柳 の下 を通 り个る尓
王可 おん奈 こ 可ぜ ひや奈ぎ し多 とふ
わかきおんなのこをいだ きてかぜのはげ しきひやなぎのしたをとおるけるに
咽 を枝 尓ま可連て死し个る可゛其 一 念 柳 尓とゞまり夜奈\/
のど え多゛ し そのいちねんや奈き よ
のどをえだ にまかれてししけるが そのいちねんやなぎにとどまりよなよな
出 天口 をしや恨 めしの柳 やと泣 个ると奈ん
いで くち うら や奈ぎ 奈き
いでてくちおしやうらめしのやなぎやとなきけるとなん
(大意)
柳女
若い女が子を抱いて、激しい風が吹く日に柳の樹の下を通ったところ
首に枝がからまって死んでしまった。その無念のおもいが柳にとどまり、夜な夜な
女があらわれ「口惜しや恨めしの柳や」と泣くのだという。
(補足)
この版では文字がやや不鮮明で、鮮明な他の版を参考にしてます。
この頁の「柳」はすべてよくみるかたちです。平仮名「や」は現代と同じかたちです。
「通り个る尓」、「り」の部分に虫食いがありますが、他の版の鮮明な絵で確かめました。
「枝」がややつぶれてしまってわかりにくい。
「とゞまり」、「とゞ」がなやみます。
柳の奥のほうから白い霞にのって柳の葉の下にあらわれた様子、右足指が着物からのぞいています。このころは幽霊はもうすでに脚がなかったはずですが、親指の爪まで丁寧に描かれています。女性の顔かたちがうりざね顔ではなくやや幅広であるのもちょっとめずらしい。
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