P16前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
第 十 六 旧 鼡
多゛以志゛うろくきう 曽
だ いじゅうろくきゅうそ
昔 大和 の志貴尓鼡 有 毛の色 赤 黒 白 の三色 奈り
む可しやまと しぎ 袮づミありけ いろあ可くくろくしろ ミいろ
むかしやまとのしぎにねずみありけのいろあかくくろくしろのみいろなり
常 尓猫 を取 喰 ふ華 夷攷 尓云 く猫 王 あり鼡
つ年 袮こ とりくら 可ハゐこう い王 びやうわう 袮づミ
つねにねこをとりくらうか いこうにいわくびょうおうありねずみ
をのづ可ら来 天死春ること数 十 と去 バ猫 も鼡 も
き多り し 春 志゛う され 袮こ 袮づミ
をのずからきたりてしすることすうじゅうとさればねこもねずみも
(大意)
第十六旧鼠
昔大和の志貴に鼠がいた。毛の色は赤黒白の三色であった。
常に猫を捕り食らっていた。「華夷攷」に次のようにある。「猫の王がいた。
鼠はそこへおのずから来て死ぬこと数十であった」。つまり、猫も鼠も
(補足)
「赤黒白」の振り仮名が「あか(く)しろ(く)しろ」と(く)があります。
「来天」、振り仮名「き多り」の区切りを確かめるのが難しい。
「赤黒白の三色の鼡」って、三毛猫は馴染みがあるけど、三毛鼠がいたのかもしれません。年をとれば猫も鼠も区別はそんなにかわりはしないだろうから、うんいたのかも・・・
と、そんなおもいを感じた隣の爺さんは、そんな馬鹿なことはあんめいよ、千年たとうが二千年たとうが、猫は猫、鼠は鼠にきまってんべぇ、ったくもう、おめえさんも耄碌したもんだ。と隣の壁に向かって口角泡飛ばしてました。
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