2024年9月6日金曜日

江戸生艶氣樺焼 その16

P10 東京都立中央図書館

(読み)

ゑん二郎 ハ

えんじろうは


うき奈やの

うきなやの


うき奈と

うきなと


いふての

いうての


ある女 郎 尓

あるじょろうに


きめて

きめて


とう可

とうが


とう奈可ら

とうながら


本連ら

ほれら


れるつもり尓て

れるつもりにて


いつ者゛い二

いっぱ いに


ミへをし

みえをし


ぢ者゛んの者んゑり

じば んのはんえり


者゛可りいぢつて

ば かりいじって


いていろ於とこも

いていろおとこも


さて\/きの徒まる

さてさてきのつまる


こと奈りと於もふ

ことなりとおもう

(大意)

 艶二郎は浮名屋の浮名という客あしらいにたけた女郎にきめて、すっかり惚れられるつもりになり、精一杯に気取って、襦袢の半襟ばかりをいじってばかり、色男もさてさて、気のつまることであるとおもう。

(補足)

 この部分の筆運び(文字)が女文字のようにやや大きな字でやわらかく流れるように感じるのは気のせいでしょうか。

「とう可とう」、『十が十 (とお)初めから終わりまで。すっかり。みんな。「―ながら,ほれられるつもりにて」〈黄表紙・江戸生艶気樺焼〉』

「ぢ者゛んの者んゑり者゛可りいぢつて」、いまでなら、体裁を気にしてネクタイを直したりする様と同じようなこと。

 浮名の左後ろに座るのが浮名専属の禿(かむろ)、禿の髷飾りは小枝のようなものをさしてあったり、松葉を扇状にひろげたものなどをさしていることが多い。その禿の前にある台は煙草盆でしょうか、やけに念入りに描いています。

 燭台も手を抜かず見取り図のように丁寧、支柱の中央にあるのは持ち手でしょうか、何か引っ掛けられるように見えますけど、倒れちゃったら危ないし。

 

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