2024年9月18日水曜日

江戸生艶氣樺焼 その28

P16P17 東京都立中央図書館

P16

(読み)

ゑん

えん


二郎 ハ

じろうは


やく

やく


しや

しゃ


女 郎

じょろう





こゝ

ここ








可う

こう


いんどう里やうの

いんどうりょうの


可いて うへちやう

かいちょうへちょう


ちんを本うのう

ちんをほうのう


せんと於もひ

せんとおもい


うき奈とてまへの

うきなとてまえの


もんをひよくもん二

もんをひよくもんに


つけさせるち うもん

つけさせるちゅうもん


尓てき多りきの介

にてきたりきのすけ


P17

うけあいて多まちの

うけあいてたまちの


て うちんやへ

ちょうちんやへ


あつらへ个る

あつらへける

(大意)

 艶二郎は役者や女郎になったつもりになって、回向院道了の開帳へ提灯を奉納しようとおもい、浮名と自分の紋を比翼紋に付けさせる注文で、北里喜之介に請け負わせ、田町の提灯屋へ作らせた。

(補足)

「ゑ可ういん」、『えこういん ゑかうゐん 【回向院】東京都墨田区両国橋東詰にある浄土宗の寺。明暦三年の大火(1657年)による焼死者約十万人を供養するため幕府が建立。以後も無縁仏・刑死者を弔った。供養の勧進相撲がしばしば興行され,旧国技館が建てられるに至った』

「どう里やう」、『どうりょうさった だうれう― 【道了薩埵】

室町期の曹洞宗の僧。出生は不明。師の了庵慧明を助けて相模最乗寺を創建。神通力をもち,仏法を守護すべしとして天狗となったという伝説から,後世,広く信仰を集めた。生没年未詳』。天明四(1784)年、この黄表紙出板前年の三月十五日〜五月五日まで回向院で道了尊の出開帳があった。

「ひよくもん」、『ひよくもん【比翼紋】

相愛の男女が各々の紋所を組み合わせて作った紋。二つ紋。比翼』

「多まち」、吉原の近所。日本堤下の町。

「御ちやうちん所」の店先。中央へ座るは喜之介(片仮名「キ」があります)。あるじが見ているのは注文書でしょうか。

 工房の雰囲気を出すために諸道具の描写が凝っています。糊鉢に刷毛。小刀・筆・硯箱。制作中の提灯。主人の後ろにあるのは紙を入れる引き出し。材料の竹と細ぎりにした柵の束。

 右側には完成した何種類もの提灯があって、書かれている文字は何とある?

 

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