P6P7 東京都立中央図書館
(読み)
ハテ
はて
いろ於とこといふものハどん奈ことで奈んぎを
いろおとこというものはどんなことでなんぎを
志よふ可志れぬもの多゛ぞもふ十 両 やらふ可らもちつと
しょうかしれぬもだの ぞもうじゅうりょうやろうからもちっと
大 き奈こへで
おおきなこえで
と奈り
となり
あ多りへ
あたりへ
きこへるやう二
きこえるように
多のむ
たのむ
\/
たのむ
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者゛んとう候 兵衛
ば んとうそろべえ
王可
わか
多゛ん奈の
だ んなの
於可保でハ
おかおでは
よもやこふ
よもやこう
いふ事 ハ
いうことは
あるまいと
あるまいと
於もつ多尓
おもったに
コレ
これ
お女 中
おじょちゅう
可ど
かど
ち可゛い
ちが い
でハ
では
奈い可の
ないかの
P7
ゑん二郎 可゛
えんじろうが
於や弥二ゑもん
おややじえもん
多のん多゛ことハ
たのんだ ことは
志らずきの
しらずきの
どく二於もひ
どくにおもい
いろ\/と
いろいろと
いけんして
いけんして
可へしける
かえしける
(大意)
艶二郎「はて、色男というものは、どんなことで難儀を背負い込むことになるかわからぬものだぞ。もう十両やろうからもちっと大きな声で、隣の家まわりにも聞こえるようにやってくれ、たのむ、たのむ」
番頭候兵衛「若旦那のお顔では、まさかこういうことはあるまいとおもっていたのに、これ、あなたは家をまちがえたのではないかの」
艶二郎の親の弥二右衛門は頼んだことであるとはしらず、気の毒におもい、いろいろと意見をして帰した。
(補足)
「お女中」、『じょちゅう ぢよ―【女中】
③ 女性に対する敬称。「これ備前岡山の―さま」〈浮世草子・西鶴織留•4〉』
親の弥二右衛門さんが行灯を手にして部屋に入ってきたところでしょうか。行灯をこのように手にして運んでいるところの絵はめずらしいようにおもいます。この箱型の行灯、見るたびに作りたくなってしまいます。
母親がそのうしろについてきてますが、帯が前で留めてあるようにみえます。
番頭はどこか腑に落ちない表情、しかし艶二郎は頭をかいて、てれたふりしてニヤケ顔。
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