2024年9月3日火曜日

江戸生艶氣樺焼 その13

P8 東京都立中央図書館蔵

(読み)

ひやう者゛ん\/

ひょうば んひょうばん


あ多きヤのむすこゑん二郎 といふ

あだきやのむすこえんじろうという


いろ於とこ尓うつくしいげいしや可゛本れて

いろおとこにうつくしいげいしゃが ほれて


可けこミまし多とん多゛事 \/

かけこみましたとんだ こととんだこと


ことめいさい\/

ことめいさいめいさい


可ミ代 者んこう多゛い尓

かみだいはんこうだ いに


於よバず多ゞじや\/

およばずただじゃただじゃ


奈尓さ

なにさ


可多も奈い

かたもない


こと多゛のさ

ことだ のさ


ミん奈こしらへ

みんなこしらえ


ごとさ

ごとさ


多ゞでも

ただでも


よむ可゛めん

よむが めん


どうで

どうで


ござんす

ござんす

(大意)

読み売り「評判評判。仇気屋の息子艶二郎という色男に美しい芸者が惚れて、駆け込みました。とんでもない事、とんでもない事。この詳しい内容は、紙代板行代はけっこう、無料じゃ、ただじゃ」

女「なにさ、わけのわからないことだわさ。みんなやらせじゃないかさ。ただでも読むのはごめんでござんす」

(補足)

 ここまで読んできておもったのですが、絵もさることながら、文章の文字が大変に鮮明でとても美しい。彫師の腕が抜きん出ているようにおもわれます。またこの本が初稿に近いものであるかもしれません。

 この読売の表情がとてもやさしい顔です。この顔だちならうけとってくれそうです。読売は普通ふたり一組と昨日記しましたが、無料で江戸中に配っているので一人なのではないかと、ものの本にはありました。

 読売の背景の家は相当の金持ちの屋敷です。蔵仕立てのようにもみえます。壁にしても豪華そのもの、土台には通気口があってこれも金網なり鉄の柵が入っていそう。

 そして、黒塗りの漆をほどこしたような窓、こんなのはめったにありません。その奥の女中の身なりのよいこと、花瓶にかざった花まであって、とにかく豪勢。

 この窓の部分どんなぶうに彫師摺師は仕上げたのでしょうか?見事なものです。

 

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