P8 東京都立中央図書館蔵
(読み)
ひやう者゛ん\/
ひょうば んひょうばん
あ多きヤのむすこゑん二郎 といふ
あだきやのむすこえんじろうという
いろ於とこ尓うつくしいげいしや可゛本れて
いろおとこにうつくしいげいしゃが ほれて
可けこミまし多とん多゛事 \/
かけこみましたとんだ こととんだこと
ことめいさい\/
ことめいさいめいさい
可ミ代 者んこう多゛い尓
かみだいはんこうだ いに
於よバず多ゞじや\/
およばずただじゃただじゃ
奈尓さ
なにさ
可多も奈い
かたもない
こと多゛のさ
ことだ のさ
ミん奈こしらへ
みんなこしらえ
ごとさ
ごとさ
多ゞでも
ただでも
よむ可゛めん
よむが めん
どうで
どうで
ござんす
ござんす
(大意)
読み売り「評判評判。仇気屋の息子艶二郎という色男に美しい芸者が惚れて、駆け込みました。とんでもない事、とんでもない事。この詳しい内容は、紙代板行代はけっこう、無料じゃ、ただじゃ」
女「なにさ、わけのわからないことだわさ。みんなやらせじゃないかさ。ただでも読むのはごめんでござんす」
(補足)
ここまで読んできておもったのですが、絵もさることながら、文章の文字が大変に鮮明でとても美しい。彫師の腕が抜きん出ているようにおもわれます。またこの本が初稿に近いものであるかもしれません。
この読売の表情がとてもやさしい顔です。この顔だちならうけとってくれそうです。読売は普通ふたり一組と昨日記しましたが、無料で江戸中に配っているので一人なのではないかと、ものの本にはありました。
読売の背景の家は相当の金持ちの屋敷です。蔵仕立てのようにもみえます。壁にしても豪華そのもの、土台には通気口があってこれも金網なり鉄の柵が入っていそう。
そして、黒塗りの漆をほどこしたような窓、こんなのはめったにありません。その奥の女中の身なりのよいこと、花瓶にかざった花まであって、とにかく豪勢。
この窓の部分どんなぶうに彫師摺師は仕上げたのでしょうか?見事なものです。
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