P18 東京都立中央図書館
(読み)
うぬ可やふ奈いゝ於とこ可゛
うぬがようないいおとこが
ちらつくと女 郎 し由可゛
ちらつくとじょろうしゅが
あ多ついて奈らぬゆへ
あだついてならぬゆえ
於いらもちつとやき
おいらもちっとやき
もちのすじ多゛と
もちのすじだ と
いふせりふハ
いうせりふは
こつち可ら
こっちから
ち うもんて
ちゅうもんで
い王せるの
いわせるの
奈り
なり
きり於とし可ら
きりおとしから
者゛ち可あ多ると
ば ちがあたると
いふ者゛多
いうば だ
その
その
尓ぎり
にぎり
こぶし可゛
こぶしが
三 分ツゝ尓
さんぶずつに
ついている
ついている
ちとい多く
ちといたく
てもよい可ら
てもよいから
春゛いぶん
ず いぶん
ミへの
みえの
よい
よい
やう二
ように
多のむ
たのむ
\/
たのむ
(大意)
地廻り一「お前のようないい男にうろうろされると女郎衆が浮ついて落ち着きがなくなるので、おいらもちょっと焼き餅の筋(ねたましいの)だ」という云うセリフはこっちからの注文で言わせているのである。
地廻り二「切り落としから「罰あたり!」と、声がかかる場面だ」(色男の二枚目役(艶二郎))に、観客から「罰当たり」と掛け声がかかる、そのような場面だ)
艶二郎「その握りこぶしが三分(一両の四分の三)ずつにつくぞ。ちと痛くてもかまわぬから、しっかり見た目がよいようにたのむ、たのむ」
(補足)
「あ多ついて」、『あだつ・く 【徒付く】
② 異性に対する思いで落ち着きがなくなる。「うぬがやうないい男がちらつくと,女郎衆が―・いてならぬ故」〈黄表紙・江戸生艶気樺焼〉』
「きり於とし」、『【切り落とし】
① 江戸時代の劇場で,平土間に設けた大衆席。桝席(ますせき)とせず,客を何人でも詰めこんだので追い込み場ともいう。大入り場。〔古くは舞台であった部分を切り落として作ったところからの名という〕』
文章の文字数が余白を埋め尽くしているので、今までの頁のように描けないのではないかとおもいきや、右脇に火の用心の水桶と看板、左脇には門柱(建物の角かも?)を配置して遠近を強調しているし、殴っている地廻りの着物柄は三本線の縦横縞で、横縞を縦縞が横切っているという凝りよう。
また左の地廻りは足袋に下駄、左足にも下駄のまま艶二郎を蹴飛ばしています、こりゃ痛い。
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