2024年9月28日土曜日

江戸生艶氣樺焼 その38

P21 個人蔵書より

(読み)

ヲヤとばゑのやう奈可保の

おやとばえのようなかおの


ひと可゛とふるミん奈きて

ひとが とうるみんなきて


ミ奈せい

みなせい


そとを

そとを


あるくと日尓

あるくとひに


やけるで

やけるで


あやまる

あやまる



まつ多

まった


もの多゛

ものだ


ま多

また


本れ多

ほれた


そふ多

そうだ


いろ

いろ


於とこも

おとこも


うるさいぞ

うるさいぞ

(大意)

水茶屋娘「おや、鳥羽絵のような顔の人が通る。みんな来てみなせぇ」

艶二郎「そとを歩くと日に焼けるので、よくなかったな。(水茶屋娘がこっちを見て何か言っているのを見て)困ったものだ、(あの娘は)また(おれに)惚れたようだ。色男もわずらわしいものだ」

(補足)

「とばゑ」、『とばえ ―ゑ【鳥羽絵】

① 〔院政末期,鳥羽僧正が始めたという〕江戸時代,簡略軽妙に日常生活を画材として描いた滑稽な戯画』

「うるさい」、『⑤ 面倒くさくて,いやだ。わずらわしい。「―・い問題が起こったものだ」』

 水茶屋の娘が笑いをこらえながら手にしている丸いものは小さな丸盆でしょうか。おかしな地紙賣だと笑いの種にしているのを勘違いしている艶二郎は幸せ者。

 水茶屋の茶碗の入っている小さい棚ダンスは側板に扇状の手を入れるところがあって運べるようになっていて、なかなかの一品。

 その下の箪笥も立派です。そしてその横の長椅子や煙草盆まで随分念入りに描かれています。

 札が立てかけてあって「御富札取次仕候(おとみふだとりつぎつかまつりそうろう)」とあるので、水茶屋で宝くじも販売していたようです。そのすぐ右側の地面にある四角のものは、なんでしょうか?

 

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