2024年9月13日金曜日

江戸生艶氣樺焼 その23

P12P13 東京都立中央図書館蔵

P13

(読み)

於連可゛

おれが


やくも

やくも


つらい

つらい


やく多゛

やくだ


ざしきの

ざしきの


うちハ

うちは


大 じんて

だいじんで


とこ可゛

とこが


於さまると

おさまると


まきへの

まきえの


多者゛こ

たば こ


本゛んと

ぼ んと


於れ

おれ


者゛可り

ば かり


これも

これも


とせい

とせい


多゛と

だ と


於もへバ

おもえば


者らも

はらも


多ゝぬ可゛

たたぬが


五 ツぶとん

いつつぶとん


尓しきのよぎでねる多゛けぢ尓奈らねへ

にしきのよぎでねるだ けじにならねぇ

(大意)

志庵「オレの役もつらい役だ。座敷のときはお大尽で、それが終わって寝床に入ると、蒔絵の煙草盆とオレばかりだ。これも渡世だとおもえば腹も立たぬが、五つ蒲団・錦の夜着で寝るだけ痔(持)にならねぇ(わりがあわねぇ)」

(補足)

「よぎ」、『よぎ【夜着】夜,寝るとき上に掛けるもの。特に,綿を入れて掛け蒲団とする大形の着物をいう。かいまき。小夜着。季冬「ひとり寝や幾度―の襟をかむ」来山』

 「みつぶとん【三つ布団】敷き布団を三枚重ねたもの。江戸時代,遊郭で最上位の遊女の用いた夜具」はよくでてきますが、「五ツぶとん」はさらにその上をいくものででしょう。絵にもあるように(ここでは四つまでしか数えられませんが)、たいそう豪華であります。そして錦の夜着、これもまた山のようになって豪華豪華。

 ジジイのわたしは母から受け継いだきっと百年くらいはたっている、かいまきがあります。綿がぎっしり詰まっていてこれをかけて寝ると確かに暖かいのですが、重くて(ずれんないから隙間から冷たい空気が入らない)夜中にうなされます。

 志庵の前には蒔絵の煙草盆(四つ脚と底板があります)、かたや艶二郎の部屋には持ち手のついた普通の煙草盆。小便所のとなりでせんべい布団、煙草盆もそこいらにあるもの、艶二郎はこれでウフフと感じ入り、浮名は「ぬしハ春いきやう奈ひと」と持ち上げ、さすが「てのある女郎」であります。

 枕屏風にしては大きいですけど、朝顔の絞り染めのような柄、それもこんなにたくさん、彫師泣かせです。

 

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