2024年9月27日金曜日

江戸生艶氣樺焼 その37

P21 東京都立中央図書館蔵

P21 個人蔵書より

(読み)

ゑん二郎 ハのぞミのとふり可んどう

えんじろうはのぞみのとうりかんどう


をうけ个れども者ゝの可多より

をうけけれどもははのかたより


金 ハ入 用 次㐧 二於くるゆへ

かねはいりようしだいにおくるゆえ


何 ふそく奈け連

なにふそくなけれ


ども奈んぞ

どもなんぞ


う王き

うわき


奈しやう

なしょう


者゛いをして

ば いをして


ミ多く

みたく


いろ男  の

いろおとこの


するしやう

するしょう


者゛いハぢ可ミ

ば いはじがみ


うり多゛ろう

うりだ ろう


とま多゛奈つ

とまだ なつ


もこぬ尓

もこぬに


ぢ可ミ

じがみ


うりと

うりと


で可け

でかけ


一 日 二

いちにちに


あるい

あるい


て大 キ

ておおき


尓あしへ豆 を

にあしへまめを


で可しこれ二ハ

でかしこれには


こり\/とする

こりこりとする


此 時

このとき


大 キ奈すい

おおきなすい


きやうもの多゛と

きょうものだ と


よ本どうき奈立 个り

よほどうきなたちけり

(大意)

 艶二郎はのぞみ通り勘当を受けたが、母の方より金は必要なだけ送るられてくるので何の不足もなかった。しかし何か浮気な商売をしてみたく、色男のする商売は地紙売りだろうと、まだ夏も来ぬのに地紙売りと出かけ、一日中歩いて大きな豆を足にこしらえてしまい、これにはコリコリとまいってしまった。このときにはずいぶんな酔狂物だとたいそう浮名がたった。

(補足)

「入用次㐧」、「入用」は読めたけど、後半はにらめっこしてもダメでした。

「ぢ可ミうり」、『じがみうり ぢ―【地紙売り】江戸中期,多く若衆姿で扇の地紙を売り歩いた者。初夏の頃から伊達な身なりで箱をかついで市中をまわった』

「世渡風俗圖会一」にちょっと地味ながらも「地紙賣」がありました。

 ついでに「團扇賣」。

 まず目に飛び込んでくるのは水茶屋の葦簀(よしず)。異様に丁寧です。

左端は葦ではなく細い竹で丈夫にして、一番下は横糸を二重してます。

また彫師も微妙に葦の間隔を変えて、少しうねっているように見せ、何よりも摺師が適度に葦簀の表面をかすれさせて自然な感じに仕上げています。さらに、葦簀の左下、葦簀の支えをほんの少し見せているところが、これがあるのとないのとでは(実際に指先でかくしてみればわかります)雲泥の差で、なんともうまい!

 地紙賣も團扇賣も風流だなぁ。

 

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