P22P23 東京都立中央図書館
P22
(読み)
ゑん二郎 いよ\/のり可゛きて
えんじろういよいよのりが きて
可れこれとするうち七 十 五日 の
かれこれとするうちしちじゅうごにちの
日ぎり可゛きれうち可多ゟ ハ
ひぎりが きれうちかたよりは
可んどうをゆるさんと
かんどうをゆるさんと
まい日 のさいそく
まいにちのさいそく
奈れども
なれども
いま多゛う王きを
いまだ うわきを
志多りねバ
したりねば
志んるい中 の
しんるいじゅうの
とり奈し尓て
とりなしにて
廿 日の日のへ
はつかのひのべ
をね可゛ひ
をねが い
どふしてもしんぢ う
どうしてもしんじゅう
本どう王
ほどうわ
き奈ものハ
きなものは
あるまいと
あるまいと
てまへハいのちも
てまえはいのちも
すてるき
すてるき
奈れども
なれども
それでハうき奈可
それではうきなが
ふしやうちゆへ
ふしょうちゆえ
うそしんぢ うの
うそしんじゅうの
つもり尓て
つもりにて
さきへきの春けと
さきへきのすけと
(大意)
艶二郎はいよいよ気分がのってきて、かれこれとするうちに七十五日の期限がきれ、家の方からは勘当を許さんと毎日の催促がきていたが、いまだに浮気をしたりなかったので、親類中のとりなしで二十日の日延べを願った。
絶対に心中ほど浮気なものはあるまいと、自分の命は捨てる気であったが、それでは浮名が承知しないので、うそ心中ということにしようと、まえもって喜之介と(志庵をまたせておき)
(補足)
「のり可゛きて」、『乗りが◦来る
興味がわいてくる。気分が乗ってくる。乗り気になる。調子に乗る。「艶二郎いよ〱―◦きて,かれこれとするうち」〈黄表紙・江戸生艶気樺焼〉』
うそ心中の準備に忙しい面々。右から順に、喜之介(左袖に「キ」)・浮名(左袖に「う」)・禿・志庵(右袖に「志」)・髪結い・艶二郎・禿。
心中の道具立ての詳細は次回。
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