2024年9月29日日曜日

江戸生艶氣樺焼 その39

P22P23 東京都立中央図書館

P22

(読み)

ゑん二郎 いよ\/のり可゛きて

えんじろういよいよのりが きて


可れこれとするうち七 十  五日 の

かれこれとするうちしちじゅうごにちの


日ぎり可゛きれうち可多ゟ ハ

ひぎりが きれうちかたよりは


可んどうをゆるさんと

かんどうをゆるさんと


まい日 のさいそく

まいにちのさいそく


奈れども

なれども


いま多゛う王きを

いまだ うわきを


志多りねバ

したりねば


志んるい中  の

しんるいじゅうの


とり奈し尓て

とりなしにて


廿 日の日のへ

はつかのひのべ


をね可゛ひ

をねが い


どふしてもしんぢ う

どうしてもしんじゅう


本どう王

ほどうわ


き奈ものハ

きなものは


あるまいと

あるまいと


てまへハいのちも

てまえはいのちも


すてるき

すてるき


奈れども

なれども


それでハうき奈可

それではうきなが


ふしやうちゆへ

ふしょうちゆえ


うそしんぢ うの

うそしんじゅうの


つもり尓て

つもりにて


さきへきの春けと

さきへきのすけと

(大意)

 艶二郎はいよいよ気分がのってきて、かれこれとするうちに七十五日の期限がきれ、家の方からは勘当を許さんと毎日の催促がきていたが、いまだに浮気をしたりなかったので、親類中のとりなしで二十日の日延べを願った。

 絶対に心中ほど浮気なものはあるまいと、自分の命は捨てる気であったが、それでは浮名が承知しないので、うそ心中ということにしようと、まえもって喜之介と(志庵をまたせておき)

(補足)

「のり可゛きて」、『乗りが◦来る

興味がわいてくる。気分が乗ってくる。乗り気になる。調子に乗る。「艶二郎いよ〱―◦きて,かれこれとするうち」〈黄表紙・江戸生艶気樺焼〉』

 うそ心中の準備に忙しい面々。右から順に、喜之介(左袖に「キ」)・浮名(左袖に「う」)・禿・志庵(右袖に「志」)・髪結い・艶二郎・禿。

 心中の道具立ての詳細は次回。

 

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