2024年3月20日水曜日

九替十年色地獄 その54

P26P27 国文学研究資料館蔵

P26

(読み)

かゝるいろぢごくのくるし

かかるいろじごくのくるし


き事 をごくらく

きことをごくらく


通土(つうど)の一ツ寸 さきハ

   つうど のいっすんさきは


やミ多゛尓与らいと申

やみだ にょらいともうす


大 じん本゛とけふびん尓

だいじんぼ とけふびんに


於本゛しめし

おぼ しめし


ていし由大 王 尓

ていしゅだいおうに


さう

そう


多゛ん

だ ん


して

して


志ま

しま


王う

おう


ごんを

ごんを


於ゝく出しミうけ

おおくだしみうけ


してごくらくつうどへ

してごくらくつうどへ


すくひとり給 ふぞ

すくいとりたもうぞ


あらあり可゛多や於多うとや

あらありが たやおとうとや


いもとや於ぢや

いもとやおじや


いとこ者とこふ多

いとこはとこふた


於やハ申  に於よバ須゛

おやはもうすにおよばず


多ちまち志゛やうぶつ

たちまちじ ょうぶつ


う多可゛い奈くう可ミ上 ると

うたが いなくうかみあがると


いふ事 ハこん奈事 可ら

いうことはこんなことから


者じ

はじ


まり

まり


个る

ける

(大意)

 かかる色地獄の苦しきことを、極楽通土の一寸先は闇だ如来と申す、大尽仏は不憫に思し召して、亭主大王に相談し、紫磨黄金を多く出し、身請けして極楽通土へお救いになられ、ありがたいことであった。弟や妹や叔父やいとこ・はとこ、ふた親は申すに及ばず、たちまち成仏疑いなく、浮かび上がるということは、こんな事から始まった。

(補足)

通人がゆく極楽浄土なので「極楽通土」、「やミ多゛尓与らい」はもちろん阿弥陀如来の洒落。4人の後ろで笏を持って立っているのが大尽仏。

「志ま王うごん」、『しまおうごん ―わうごん【紫磨黄金】

紫色を帯びた最も良質とされた黄金。紫金。紫磨金(しまごん)。閻浮檀金(えんぶだごん)』

 文章は鮮明で読みにくいところもありません。

 

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