2024年3月10日日曜日

九替十年色地獄 その44

P21 国文学研究資料館蔵

(読み)

月 のさハりと

つきのさわりと


奈るときハ人

なりときはひと


奈ミ尓すへふろへも

なみにすへふろへも


者いられ須

はいられず


さふい

さぶい


志ぶんも

じぶんも


ぎやう

ぎょう


ずいを

ずいを


つ可ふ

つかう


その

その


由を王可して

ゆをわかして


もらふ尓も

もらうにも


志多者多らき尓

したばたらきに


一 分 ツゝもやら袮バ

いちぶんずつもやらねば


奈ら須゛つ可゛うの

ならず つご うの


王るひとき奈ぞハ

わるいときなぞは


ミをきらるゝ

みをきらるる


思 ひ奈りこれぞ

おもいなりこれぞ


ちのいけのくるしミと

ちのいけのくるしみと


いつ川べし

いつつべし

(大意)

 月の障り(月経)のときには、ひとなみに据風呂へも入ることはできず、寒い時分でも行水を使う。その湯を沸かしてもらうのにも、下働きのものに一分ずつもやらなくてはならない。金回りのわるいときなぞは、身を切られるおもいである。これぞ血の池の苦しみというのであろう。

(補足)

「一分」、銀一匁(もんめ)の十分の一。十文程度。かけそばが16文なのでいまならペットボトル小一本くらい。

「いつ川べし」、『つ◦べし

(連語)〔完了の助動詞「つ」の終止形に推量の助動詞「べし」の付いたもの〕

① 動作・作用の完了・実現が確かなものとして当然予想される意を表す。…するにちがいない。きっと…てしまうであろう。たしかに…しそうである。「ゆくりなく風吹きてこげどもこげどもしりへしぞきにしぞきて,ほとほとしくうちはめ―◦べし」〈土左日記〉「楊貴妃の例(ためし)も引き出で―◦べうなりゆくに」〈源氏物語•桐壺〉』

 ためになる客をひきとめるために、指切りをしたり起請文をかいたりとありましたが、もう一つ入れ墨もありました。拡大しても読むことが出来ず残念。背中を見せている遊女も左腕に小さく入れ墨があります。また髪型も違っていて、ちょっと年増なのかもしれません。

 行水桶の縁にのっている小袋は糠袋、奥のふたりの遊女の手にもそれぞれ握られています。

 

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