P22P23 国文学研究資料館蔵
P23
(読み)
「和多くしハぜ尓奈ら
多川多二タすし可
三すじ
キの字やへ
於まんまの
於可川を
とり尓やる
本どのぜ尓可゛本しひナア
歌「二八十六てぶ川可け一ツ
二九の十八てあまさけ三者゛い
四五の二十で多゛んこ可四くし
(大意)
「わたくしは、銭ならたった二たすじか三すじ、喜の字屋へおまんまのおかずをとりにやるくらいの銭がほしいなぁ
「二八十六でぶっかけ(蕎麦・うどん)一つ、二九の十八で甘酒三杯、四五の二十で団子が四串。
(補足)
「二タすし可三すじ」、銭を棒状に束ねたもの一本は百文。
「歌」のくずし字がよくわかりませんが、一番簡単なのは「可」を2つ重ねたようなかたち。
花魁の話し言葉は現在のものとほとんどかわりません。
歌のこのような文句から当時寛政三(1791)年頃の物価がわかるのはとても貴重です。かけそば・うどん一杯16文、現在は300〜600円くらいでしょうか。甘酒一杯6文、団子一串5文、1文を30円くらいとすると団子一串が150円になりますから、まぁしっくりくる換算になります。喜の字屋へおかずの仕出しが六千円〜9千円になりますから、これもそれくらいだろうという価格になって納得です。
中央の花魁の見事なフォアハンドの構え、ほれぼれであります。帯の細かい柄もこってます。これからたたこうとする器は高価な蛇口付きの水入れのようです。輸入品でしょうか。床に蓋がおいてあります。
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