2024年3月4日月曜日

九替十年色地獄 その38

P18 国文学研究資料館蔵

(読み)

此 いろぢごく

このいろじごく


尓てハ志や

にてはしゃ


者゛でま多゛

ば でまだ


可多びら

かたびら


をきる

をきる


志゛ぶん八 月

じ ぶんはちがつ


朔 日 尓白 むくの

ついたちにしろむくの


可さ年ぎを

かさねぎを


させるざん志与の

させるざんしょの


つ与ひ志゛ぶんハ

つよいじ ぶんは


そのあつさ

そのあつさ


こ多へられず

こたえられず


そのくめんの

そのくめんの


くるしさ

くるしさ


多とへん尓

たとへんに


もの奈し

ものなし


べ川して

べっして


可年のまち

かねのまち


可゛つ多

が った


女 郎 奈ぞハ

じょろうなぞは


そのうへ尓こびん

そのうえにこびん


可らひ可゛でる

からひが でる


い王由る

いわゆる


志やう袮つ

しょうねつ


ぢごくの

じごくの


くるしミ

くるしみ


これ奈り

これなり


あせつらゝの

あせつららの


ごとく尓奈可゛れる

ごとくになが れる

(大意)

 この色地獄では、娑婆ではまだ帷子(かたびら)を着る時分に、八月朔日(ついたち)に白無垢を重ね着させる。残暑の強い時期にその暑さを我慢するのは大変で、暑さよけの工夫もかぎりがあり、ほかにたとえようもない苦しさである。

 とりわけ、金遣いのあらい女郎などは、その上に、小鬢(こびん)から火が出る。いわゆる焦熱地獄の苦しみはこれである。

 汗、つららのように流れる。

(補足)

「可多びら」、『〔あわせの「片ひら」の意〕① 裏を付けない衣服。ひとえもの。』

「八月朔日」、八朔(はっさく)ともいう。現在の8月末から9月のころ。八朔の日は吉原では白無垢を着て祝った。

「可年のまち可゛つ多女郎」が悩んだのですけど、う〜ん、いまひとつピンときません。

 用水桶に「色地獄」とありますが、実際は町の名前がかかれます。

 花魁も禿もみな同じ着物柄です。禿が頭に飾っているのは切り花か小枝の生花でしょうか。とおもってネットをのぞくと、禿のあたまのお飾りは、多種多様、様々なお飾りが盛ってありました。

 

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