2024年3月11日月曜日

九替十年色地獄 その45

 

P21 国文学研究資料館蔵

(読み)

「下 ハ多らきの於尓くち

 したばたらきのおにくち


小言 をいふ

こごとをいう


「いゝ可げん尓して

 いいかげんにして


あ可゛ん奈せへ

あが んなせえ


王つちら可゛くめの

わっちらが くめの


仙 人 てミ多可゛いゝ

せんにんできたが いい


志゛やうふ多゛んめを

じ ょうふだ んめを


ま王しやす

まわしやす


「モシちよつと

 もしちょっと


ミゝを於多゛し

みみをおだ し


奈んし

なんし


「者゛ん尓又 松 やの

 ば んにまたまつやの


きやくつら可゛

きゃくずらが


きんすとさ

きんすとさ


いや多゛

いやだ


のふ

のう

(大意)

下働きの鬼が文句を言う。

「いい加減にしてあがんなせえ。わっちらが久米仙人みたいなら、いつも目をまわしやす

「もし、ちょっと耳をかしておくんなさい

「晩にまた、松屋の客たちが来るんですって、嫌だのう

(補足)

「くち小言」、『くちこごと 3【口小言】

不平や文句を言うこと。「下女はお上さんがあんなでは困ると,―を言ひながら」〈雁•鷗外〉』

「常不断」、『じょうふだん じやう― 3【常不断】

常に絶えないこと。いつも。ふだん。「課長さんの所(とこ)へも―御機嫌伺ひにお出でなさるといふ事(こつ)たから」〈浮雲•四迷〉』

「久米仙人」、飛行術を修得したが川で洗濯する女のふくらはぎをみて墜落した。ここの「く」と「くち小言」の「く」のかたちが違います。

 下働きの手にしている箒のようなものはなんでしょう?箒だったらちゃんと藁なので縦線をいれるはずだし・・・

 四人の裸、デッサンのようにササッと仕上げた感じ、彫師もうまいものです。


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