P1 国文学研究資料館蔵
(読み)
ぜ尓かね尓毛
ぜにかねにも
かへられぬもの
かえられぬもの
ハいのち奈り
はいのちなり
よ能中 尓大
よのなかにたい
せ川奈もの
せつなもの
をいのち可ら
をいのちから
二者゛んめといふ
にば んめという
さ春れバ命
さすればいのち
本どのた可ら
ほどのたから
ハ奈しそ乃
はなしその
いのちといふ
いのちという
ものどこから
ものどこから
でるぞといふ
でるぞという
丹てんちざう
にてんちぞう
く王の神 お
か のかみお
本くのいのち
おくのいのち
を仕入 てと
をしいれてと
本り天 の一 丁
おりてんのいっちょう
め尓みせをい
めにみせをい
多゛していの
だ していの
ちのと以や
ちのといや
を志玉 ふ
をしたまう
(大意)
銭や金に代えられぬものは命である。世の中に大切であるものを、命から二番目(に大切なもの)であるという。なので命ほどの宝はない。その命というものはどこから出てくるのかというと、天地造化の神が多くの命を仕入れて、忉利天の一丁目に店を出し、命の問屋をされてらっしゃる。
(補足)
「と本り天」、『〔梵•Trāyastriṃśa〕六欲天の下から二番目の天。帝釈天がその中心に住み,周囲の四つの峰にそれぞれ八天がいる。三十三天』
「いのち可ら」、「本どのた可ら」、どちらも「可ら」が一文字に見えてしまいます。この数行後に「ものどこから」とこちらはひらがな「から」。
「志玉ふ」、普通は「給ふ」で「給」のくずし字は右回りに2回クルクルと螺旋になりますが、ここでは「玉」そのままです。この黄表紙ではすべてこの「玉ふ」が使われます。
帳場の囲いがしゃれてます。横方向の材木は定規などを使ってまっすぐになっていますけど、縦方向の材木はわざと定規を使わずに、命の長い部分は定規でまっすぐ、筆そのままで引いています。結果、なんとも現実感がかもしだされています。うまい。
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