2024年3月6日水曜日

九替十年色地獄 その40

P19 国文学研究資料館蔵

(読み)

「此 志多を三 まひ

 このしたをさんまい


おくん奈んし

おくんなんし


ても此 うちを

てもこのうちを


ちや屋へつ希金 可゛

ちゃやへつけかねが


一 分与可へしのつ可ひものゝ

いちぶよかえしのつかいものの


多者゛こ者゛こ可゛二し由と一ッ本んよ

たば こば こが にしゅといっぽんよ


のり入 とミづ引 で廿   四 文 よ

のりいりとみずびきでにじゅうよんもんよ


さし引くと

さしひくと


二両  二分奈尓可゛しと奈りんす

にりょうにぶなにが しとなりんす


「今 どきの

 いまどきの


きやくし由ハ

きゃくしゅは


志多を二まひ

したをにまい


つ可ひ奈んす

つかいなんす


可らいゝのさ

からいいのさ


とこ

とこ


者奈も

ばなも


舌 を三

したをさん


まひ

まい


ぬ可れハ

にかれば


アゝ

ああ


い多事 \/

いたごといたごと


てへ\/くるしひ

たいてえくるしい


こつちやねへ

こっちゃねぇ

(大意)

「この舌を三枚おくんなんしても、このうち(客を紹介してくれた引手)茶屋へお礼金が一分よ。(床花の返礼で客に贈る)煙草箱に二朱と一本(銭四百文)よ。糊入(紙)と水引きで廿四文よ。差引くと、二両二分なにがしとなりんす」

「今どきのお客さんたちは、舌を二枚つかい(二枚舌のこと)なんすから、いいのさ」

「床花に舌を三枚も抜かれれば、あぁ痛いいたい。まったく苦しいこっちゃねぇ」

(補足)

「ちや屋へつ希金」、「つ希金」が「付金」とわからないと読めません。

「てへ\/」、『常に。相当に。「―心遣ひをしたわいなあ」〈歌舞伎・助六所縁江戸桜〉〔「大体」「大底」などとも書かれた〕』

 三両 − (茶屋へ一分(四分の一両)と煙草箱二朱(八分の一両)と銭四百文(十分の一両)と糊入と水引き(廿四文))= 二両二分なにがし、となって計算はあっていそう。

 遊女の背中から腰元まで一筆、うまい。

 

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