P19 国文学研究資料館蔵
(読み)
「此 志多を三 まひ
このしたをさんまい
おくん奈んし
おくんなんし
ても此 うちを
てもこのうちを
ちや屋へつ希金 可゛
ちゃやへつけかねが
一 分与可へしのつ可ひものゝ
いちぶよかえしのつかいものの
多者゛こ者゛こ可゛二し由と一ッ本んよ
たば こば こが にしゅといっぽんよ
のり入 とミづ引 で廿 四 文 よ
のりいりとみずびきでにじゅうよんもんよ
さし引くと
さしひくと
二両 二分奈尓可゛しと奈りんす
にりょうにぶなにが しとなりんす
「今 どきの
いまどきの
きやくし由ハ
きゃくしゅは
志多を二まひ
したをにまい
つ可ひ奈んす
つかいなんす
可らいゝのさ
からいいのさ
とこ
とこ
者奈も
ばなも
舌 を三
したをさん
まひ
まい
ぬ可れハ
にかれば
アゝ
ああ
い多事 \/
いたごといたごと
てへ\/くるしひ
たいてえくるしい
こつちやねへ
こっちゃねぇ
(大意)
「この舌を三枚おくんなんしても、このうち(客を紹介してくれた引手)茶屋へお礼金が一分よ。(床花の返礼で客に贈る)煙草箱に二朱と一本(銭四百文)よ。糊入(紙)と水引きで廿四文よ。差引くと、二両二分なにがしとなりんす」
「今どきのお客さんたちは、舌を二枚つかい(二枚舌のこと)なんすから、いいのさ」
「床花に舌を三枚も抜かれれば、あぁ痛いいたい。まったく苦しいこっちゃねぇ」
(補足)
「ちや屋へつ希金」、「つ希金」が「付金」とわからないと読めません。
「てへ\/」、『常に。相当に。「―心遣ひをしたわいなあ」〈歌舞伎・助六所縁江戸桜〉〔「大体」「大底」などとも書かれた〕』
三両 − (茶屋へ一分(四分の一両)と煙草箱二朱(八分の一両)と銭四百文(十分の一両)と糊入と水引き(廿四文))= 二両二分なにがし、となって計算はあっていそう。
遊女の背中から腰元まで一筆、うまい。
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