P20 国文学研究資料館蔵
(読み)
多め尓奈るきやく者らを多つて与その女 郎 尓
ためになるきゃくはらをたってよそのじょろうに
なしミさきの女 郎 可゛本りものをし多と
なじみさきのじょろうが ほりものをしたと
きけバこつちでもやりてや者゛んとう
きけばこっちでもやりてやば んとう
女 郎 立 合 尓て由びをきらせる
じょろうたちあいにてゆびをきらせる
多可゛い尓志ん个ん志やう婦゛の
たが いにしんけんしょうぶ の
きやくあらそひこれ志由ら
きゃくあらそいこれしゅら
多゛うのくげん奈り
ど うのくげんなり
(大意)
ためになる(遊女の金蔓の)客が腹を立てて、よその女郎に馴染んでしまうと、むこうの女郎が彫物をしたと聞けば、こっちでも遣手や番頭女郎の立合で、指を切らせる。互いに真剣勝負の客あらそいである。これが修羅道の苦患である。
(補足)
なんとも恐ろしい話と絵、というか絵のほうがよほど震えてしまいます。
「さぁやっておくんなんし」と歯をくいしばり目をつぶり顔をそむける遊女、右脚指先がこころなしか力が入って踏ん張っているような・・・番頭女郎は鉄のお銚子を振り上げ、顔は引き締まって緊張の極致、血が引いています。
番頭新造は桔梗柄、厄除開運の縁起を担ぐ意味か、遊女は南天に見えますがさて?
0 件のコメント:
コメントを投稿