2024年3月7日木曜日

九替十年色地獄 その41

P20 国文学研究資料館蔵

(読み)

多め尓奈るきやく者らを多つて与その女 郎 尓

ためになるきゃくはらをたってよそのじょろうに


なしミさきの女 郎 可゛本りものをし多と

なじみさきのじょろうが ほりものをしたと


きけバこつちでもやりてや者゛んとう

きけばこっちでもやりてやば んとう


女 郎 立 合 尓て由びをきらせる

じょろうたちあいにてゆびをきらせる


多可゛い尓志ん个ん志やう婦゛の

たが いにしんけんしょうぶ の


きやくあらそひこれ志由ら

きゃくあらそいこれしゅら


多゛うのくげん奈り

ど うのくげんなり

(大意)

 ためになる(遊女の金蔓の)客が腹を立てて、よその女郎に馴染んでしまうと、むこうの女郎が彫物をしたと聞けば、こっちでも遣手や番頭女郎の立合で、指を切らせる。互いに真剣勝負の客あらそいである。これが修羅道の苦患である。

(補足)

 なんとも恐ろしい話と絵、というか絵のほうがよほど震えてしまいます。

「さぁやっておくんなんし」と歯をくいしばり目をつぶり顔をそむける遊女、右脚指先がこころなしか力が入って踏ん張っているような・・・番頭女郎は鉄のお銚子を振り上げ、顔は引き締まって緊張の極致、血が引いています。

 番頭新造は桔梗柄、厄除開運の縁起を担ぐ意味か、遊女は南天に見えますがさて?

 

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