2024年3月14日木曜日

九替十年色地獄 その48

P22P23 国文学研究資料館蔵

P23

(読み)

志やう奈可ら志ろもの

じゆうながらしろもの


奈ら尓しきの与ぎ尓

ならにしきのよぎに


い多じめの三ツふとん

いたじめのみつぶとん


志きぞめのそばまで

しきぞめのそばまで


つけて本しひナァ

つけてほしいなぁ


「中 尓もふりそでの

 なかにもふりそでの


志んぞう奈ぞハて うづ

しんぞうなぞはちょうず


者゛ちや飛しやくのくめんも

ば ちやひしゃくのくめんの


でき可年連ど

できかねれど


心  ざす所  ハや川ハり

こころざすところはやっぱり


む个んの可年ちや王んをて うづ者ち尓なぞらへ

むけんのかねちゃわんをちょうずばちになぞらへ


可んざしをひしやく尓

かんざしをひしゃくに


多とへてむ个んの

たとえてむけんの


者し多ぜ尓を

はしたぜにを


つくもあり

つくもあり

(大意)

わがままを言うなら、代物なら錦の夜着に板締めで染めた三つ蒲団、敷き初めの蕎麦まで付けてほしいなぁ

「なかでも、振袖新造などは、手水鉢や柄杓の工面もできなかったのだが、気持ちはやっぱり無間の鐘である。茶碗を手水鉢になぞらへ、簪を柄杓にたとえて、無間のはした銭をつくこともあった。

(補足)

「志やう奈可ら」、「自由ながら」とはなかなか読めませんでした。

「飛しやく」、「心ざす」、「飛」と「心」のくずしじの違いは、一画目の「ゝ」があるかないかの違いだけ。

「い多じめ」、『いたじめ【板締め】

染色法の一。布を屛風畳みにし,両側から型板を当ててかたく縛って染液に浸すもの。板の型にしたがって白く抜け,染め模様ができる。板に模様を彫る場合もある。夾纈(きようけち)もこの一種』

「志きぞめのそば」、夜着や三つ蒲団などの夜着の使い始めの日に、遊女屋や茶屋など内外の関係者に蕎麦を振る舞う。慣習では新調してやる馴染客がそれら経費も支払った。とありました。

「む个んの者し多ぜ尓」、無間の鐘の鐘を金=銭とした。

 文章のとおりに、足元に小さな茶碗、右手に簪をもち、からだを弧にしてみごとなフォアハンドスタイル。

 

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