P22P23 国文学研究資料館蔵
P23
(読み)
志やう奈可ら志ろもの
じゆうながらしろもの
奈ら尓しきの与ぎ尓
ならにしきのよぎに
い多じめの三ツふとん
いたじめのみつぶとん
志きぞめのそばまで
しきぞめのそばまで
つけて本しひナァ
つけてほしいなぁ
「中 尓もふりそでの
なかにもふりそでの
志んぞう奈ぞハて うづ
しんぞうなぞはちょうず
者゛ちや飛しやくのくめんも
ば ちやひしゃくのくめんの
でき可年連ど
できかねれど
心 ざす所 ハや川ハり
こころざすところはやっぱり
む个んの可年ちや王んをて うづ者ち尓なぞらへ
むけんのかねちゃわんをちょうずばちになぞらへ
可んざしをひしやく尓
かんざしをひしゃくに
多とへてむ个んの
たとえてむけんの
者し多ぜ尓を
はしたぜにを
つくもあり
つくもあり
(大意)
わがままを言うなら、代物なら錦の夜着に板締めで染めた三つ蒲団、敷き初めの蕎麦まで付けてほしいなぁ
「なかでも、振袖新造などは、手水鉢や柄杓の工面もできなかったのだが、気持ちはやっぱり無間の鐘である。茶碗を手水鉢になぞらへ、簪を柄杓にたとえて、無間のはした銭をつくこともあった。
(補足)
「志やう奈可ら」、「自由ながら」とはなかなか読めませんでした。
「飛しやく」、「心ざす」、「飛」と「心」のくずしじの違いは、一画目の「ゝ」があるかないかの違いだけ。
「い多じめ」、『いたじめ【板締め】
染色法の一。布を屛風畳みにし,両側から型板を当ててかたく縛って染液に浸すもの。板の型にしたがって白く抜け,染め模様ができる。板に模様を彫る場合もある。夾纈(きようけち)もこの一種』
「志きぞめのそば」、夜着や三つ蒲団などの夜着の使い始めの日に、遊女屋や茶屋など内外の関係者に蕎麦を振る舞う。慣習では新調してやる馴染客がそれら経費も支払った。とありました。
「む个んの者し多ぜ尓」、無間の鐘の鐘を金=銭とした。
文章のとおりに、足元に小さな茶碗、右手に簪をもち、からだを弧にしてみごとなフォアハンドスタイル。
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