P25P26 国立国会図書館蔵
P26
(読み)
かの京 伝 ハ右 の
かのきょうでんはみぎの
志ゞ うをとくとミて
しじゅうをとくとみて
ゐ多りし可゛思 ふやうハ王れ思 ハ須゛も
いたりしが おもうようはわれおもわず も
志者゛らくこの可ら多゛をすミ可と奈し
しば らくこのからだ をすみかとなし
こと尓とも多゛ちの無二郎 可゛可ら多゛の
ことにともだ ちのむじろうが からだ の
事 奈れバい可尓もきのとく奈事 也
ことなればいかにもきのどくなことなり
志可しい个んをし多い尓ハ
しかしいけんをしたいには
とう人 の可ら多゛の中 尓ゐる
とうにんのからだ のなかにいる
於れ奈れハそれも
おれなればそれも
でき
でき
須゛これハまつ多く
ず これはまったく
心 可゛心 のゐ所 尓いぬ
こころが こころのいどころにいぬ
由への事 奈りと
ゆへのことなりと
可年多いこ尓て
かねたいこにて
心 の由くへを多つ年る
こころのゆくへをたずねる
(大意)
かの京伝は、右の始終をすべて見ていたのだが、思うには「われおもわずも、しばらくこの体をすみかとし、ことに友達の無二郎のからだのことなれば、いかにも気の毒なことである。しかし、意見をしたくとも、当人の体の中にいるのがおれであっては、それもできず、これはまったく心が心の場所にいないからなのだ」と、鉦太鼓をならして、心の行方を尋ねる。
(補足)
「きのとく奈事也」、ここの「也」のくずし字は三画目の半円部分だけが残った感じ。
京伝、無二郎が体の中をさまよう絵はまさに、ミクロの決死圏。
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