2024年1月15日月曜日

人間一生胸算用 その56

P25P26 国立国会図書館蔵

P25

(読み)

かくてお者゛の所  で可りし可年も

かくておば のところでかりしかねも


あしと手可゛らり尓して

あしとてが らりにして


志まひ个れど尓くひとて

しまいけれどにくいとて


あし手をき川ても

あしてをきっても


すてら連須今 ハ

すてられずいまは


せん可多奈くいろ\/

せんかたなくいろいろ


志あんしてゐる所  尓

しあんしているところに


此 ころきん所 てとミを

このごろきんじょでとみを


と川多る事 をミゝ可゛きゝ出し

とったることをみみが ききだし


その可年をうけとる所  を

そのかねをうけとるところを


目可見て可へり个れハ

めがみてかえりければ

(大意)

 かくて、叔母のところで借りた金も、足と手が無駄使いしてしまったが、憎くもありながらも、足と手を切ろうにも捨てられず、今は致し方なく、いろいろ思案していた。ちょうどそこへ、最近、近所で富くじを当てた人がいると耳が聞きつけ、その金を受け取った家を目が確かめ帰宅した。

(補足)

「らり」、「らり 【乱離】(名•形動)「乱離骨灰(らりこつぱい)」の略。「鐘供養踊り子が来て―にする」〈誹風柳多留•9〉」とあり、「らりこっぱい ―こつぱひ 31【乱離骨灰・羅利粉灰】(名•形動)めちゃめちゃになる・こと(さま)。さんざん。乱離。「こいつめが亭主を―にしやあがる」〈滑稽本・東海道中膝栗毛•発端〉」とありました。

「此ころ」、ここの「こ」は変体仮名「己」(こ)でしょうか。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿