P25P26 国立国会図書館蔵
P25
(読み)
かくてお者゛の所 で可りし可年も
かくておば のところでかりしかねも
あしと手可゛らり尓して
あしとてが らりにして
志まひ个れど尓くひとて
しまいけれどにくいとて
あし手をき川ても
あしてをきっても
すてら連須今 ハ
すてられずいまは
せん可多奈くいろ\/
せんかたなくいろいろ
志あんしてゐる所 尓
しあんしているところに
此 ころきん所 てとミを
このごろきんじょでとみを
と川多る事 をミゝ可゛きゝ出し
とったることをみみが ききだし
その可年をうけとる所 を
そのかねをうけとるところを
目可見て可へり个れハ
めがみてかえりければ
(大意)
かくて、叔母のところで借りた金も、足と手が無駄使いしてしまったが、憎くもありながらも、足と手を切ろうにも捨てられず、今は致し方なく、いろいろ思案していた。ちょうどそこへ、最近、近所で富くじを当てた人がいると耳が聞きつけ、その金を受け取った家を目が確かめ帰宅した。
(補足)
「らり」、「らり 【乱離】(名•形動)「乱離骨灰(らりこつぱい)」の略。「鐘供養踊り子が来て―にする」〈誹風柳多留•9〉」とあり、「らりこっぱい ―こつぱひ 31【乱離骨灰・羅利粉灰】(名•形動)めちゃめちゃになる・こと(さま)。さんざん。乱離。「こいつめが亭主を―にしやあがる」〈滑稽本・東海道中膝栗毛•発端〉」とありました。
「此ころ」、ここの「こ」は変体仮名「己」(こ)でしょうか。
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