P27P28 国立国会図書館蔵
P27
(読み)
京 伝 ハむ次郎 可゛から多゛の中 三 百 六 十 の本袮\/を多つ袮しと
きょうでんはむじろうが からだ のなかさんびゃくろくじゅうのほねぼねをたずねしと
ころ尓あ多満の
ころにあたまの
すて川へんひよめきのあ多り尓心 可゛まこ\/してゐ多るをミつけもとの
すてっぺんひよめきのあたりにこころが まごまごしていたるをみつけもとの
む年の所 へつれ可へらんとせしに又 候 さ起多゛つてのぜん多満しゐあらハれいて
むねのところへつれかえらんとせしにまたぞろさきだ ってのぜんたましいあらわれいで
つけ个るやうハ可ういふ事 尓奈らんと思 ひし由へ京 伝 をから多゛の中 へ
つげけるようはかういうことにならんとおもいしゆえきょうでんをからだ のなかへ
入 於き多りそれ孟子(もうし)もせいハ善(ぜん)奈りといひて天 可らうミ付 多る
いれおきたりそれ もうし もせいは ぜん なりといいててんからうみつけたる
心 ハミ奈よき心 奈りされとも於のれ\/ 可心 の由るミより
こころはみなよきこころなりされどもおのれおのれがこころのゆるみより
きといふものうこき出し目くちミゝ者奈手あし尓い多るまで
きというものうごきだしめくちみみはなてあしにいたるまで
こころのげちをうけ須゛このやうにく尓可゛ミ多゛るゝ奈り
こころのげちをうけず このようにくにが みだ るるなり
(大意)
京伝は、無次郎の体の中、三百六十の骨々を探し訪ねたが、頭のてっぺんもてっぺん、ひよめきのあたりに、心がうろうろしているのを見つけた。もとの胸のあたりに連れ帰ろうとしたが、またまた、先だっての善魂があらわれ出て、告ごとを述べた。
「こんなことになるのではおもったから、京伝を体の中へ入れ置いたのだ。孟子が言う。性は善なり。天から生み出された心は、もともとみな善き心である。しかしながら、一人ひとりの心のゆるみより、気というものが動き出し、目口耳鼻手足にいたるまで、心の指図を受けず、このように国(体)が乱れるのだ。
(補足)
「ひよめき」、『ひよめき【〈顋門〉・〈顖門〉】〔ひよひよと動く意から〕乳児の泉門(せんもん)』
縦長の字数が多い文章は読みにくとおもいきや、行替えで文章の区切りが少ない分、かえって読みやすくもなります。
京伝かしこまっている左側に、鉦太鼓とバチがあるのが笑えます。
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