P25P26 国立国会図書館蔵
P25
(読み)
きハぐ川と王るき尓
きはぐっとわるきに
奈り手尓いひ付 て
なりてにいいつけて
あるよひそ可尓
あるよひそかに
その可年を
そのかねを
ぬすミ尓やりし可゛
ぬすみにやりしが
志そく奈川て
しそこなって
ミつけられ个れハ
みつけられければ
ぐ王いふん王るく
が いぶんわるく
無次郎 可から多゛
むじろうがからだ
いまハ町 内 尓
いまはちょうないに
ゐら連須゛
いられず
てん\/尓志よ
てんでんにしょ
どうぐを
どうぐを
もちあしめ尓
もちあしめに
ま可せ天
まかせて
よ尓け尓
よにげに
し多るぞ
したるぞ
う多て个れ
うたてけれ
(大意)
すると、氣は悪心(あくしん)がぐぐっともたげ、手に言いつけて、ある夜、ひそかにその金を盗みにやったが、しそこなって見つけられてしまったため、外聞悪く、無次郎の体は今は町内にいることができなくなってしまた。皆てんでに身の回りの荷物を持ち、足にまかせて、夜逃げしてしまってなんとも情けないことである。
(補足)
「志そく奈川て」、仕損って(しそこなって)ですけど、こんな言い回しもしたのかも。
「う多て个れ」、「う多て」は『転〔「うたた」の転〕(形動ナリ)情けない。いとわしい。「―なりける心なしのしれ者かな」〈宇治拾遺物語•2〉』などとありました。
「てん\/尓志よどうぐをもち」、鼻は傘、目は箒に籠、手は下駄、氣は菅笠、足は行灯、耳と口は風呂敷を背負っています。いろいろ思案するも当人たちと持ち物に洒落はなさそう、まったくの手当たり次第。
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