P24 国立国会図書館蔵
(読み)
そのあとの者んぶんの
そのあとのはんぶんの
可年ハそのよま多
かねはそのよまた
手可ぬすミ出し
てがぬすみだし
あしめハよい事 を
あしめはよいことを
し於川多いてや
しおったいでや
王れもちと
われもちと
多のしミ可けんと
たのしみかけんと
奈くさミ尓
なぐさみに
かゝ里大 尓
かかりおおいに
まけこけて
まけこけて
やけを於こし
やけをおこし
大 个んく王を
おおげんか を
者しめて
はじめて
あいての
あいての
阿多満を
あたまを
尓ぎり
にぎり
こぶして
こぶしで
うち
うち
きづを
きづを
つ希
つけ
个れハ
ければ
大 さ
おおさ
ハきと
わぎと
なる
なる
(大意)
そのあとの半分の金は、その夜また手が盗み出し、「足めはよい事をしおった。よしっおれも、ちと楽しんでやろう」と、気晴らしに博打をしたが、おおいに負けがこんでやけを起こし、大喧嘩を始めた。相手の頭を握りこぶしでなぐり、傷をつけると、大騒ぎになった。
(補足)
「いでや」、『〔「いで」を強めていう語〕いやもう。いや,ほんとに。「―,さいふとも田舎びたらむは」〈源氏物語•若紫〉』
「きづをつ希个れハ」、変体仮名「希」(け)はまあまあでてきます。ここでのくずし方は「十」+「巾」のような感じ。
絵は山東京伝自身とのことでありますが、以前の駕籠かきの人物もそうでしたが、ここの殴り合っているふたりの表情もうまい。しかし手のうしろの脚三本がなんか変です。
手が右手で振り回しているのは煙草盆。足元にはぶちまけた吐月峰((とげっぽう)灰吹)、竹筒みたい形状のもの、と火入れ(お椀みたいな形状のもの)の灰がこぼれている。
また、さいころと壺皿、銭と百文つなぎが何本か散らばっています。蓙(こも)の縁に落ちている細長いものは「馬鹿」とよばれる賭場で用いる百文や五十文という定量の銭を刺して量る道具とものの本にはありました。
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