2024年1月20日土曜日

人間一生胸算用 その61

P25P26 国立国会図書館蔵

P26

(読み)

「まへこの\/  無次郎 可゛

 まいごのまいごのむじろうが


心  やアイ〽チキチャンチキ

こころやあい ちきちゃんちき


チャンドコドン

ちゃんどこどん


これハし多り

これはしたり


これてハミぶきやう个゛んの

これではみぶきょうげ んの


ひやうし尓奈累

ひょうしになる


「あしのつ満

 あしのつま


さき可ら

さきから


せ奈可あ多り

せなかあたり


まて二三 へん

までにさんべん


多つ年多可゛

たずねたが


ミへ袮へ

みえねえ


「無二郎 可゛

 むじろうが


可けて尓けるさふで

かけてにげるそうで


此 く尓可゛がうぎ奈

このくにが ごうぎな


ちしん多

じしんだ


「こゝらハ

 ここらは


すし可゛

しじが


於ゝくて

おおくて


あるき尓くひ

あるきにくい


さつまいも尓

さつまいもに


すると

すると


いつ可う多゛

いっこうだ

(大意)

「迷子のまいごの無二郎の心やぁ〜い。チキチャン、チキチャン、ドコドン。これはしくじった、これでは壬生狂言の拍子だ。

「足の爪先から背中あたりまで、二三べんさがしたが、みつからねぇ。

「無二郎が駆けて逃げてるようで、この国(中)がひどい地震だ。

「ここらは筋が多くて歩きにくい。さつまいもだとしたら、ひどいできだ。

(補足)

「いつ可う多゛」、「一向、『全くひどいさま。「こつちらは―なものだ,とんだねき物(=売レ残リ)だ」〈洒落本・通言総籬〉』」。

 山東京伝の頃には、人体解剖図や漢方の経絡などの人体図はありましたが、この絵のような神経(索)や筋肉の腱のような紐状の絵はどうだったのでしょう。なかなか医学の先取りをした絵なのかもしれません。

 

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