P21P22 国立国会図書館蔵
P21
(読み)
「目者そら奈き尓
めはそらなきに
奈きそら奈ミ多゛を
なきそらなみだ を
こ本せバそば尓
こぼせばそばに
手可゛ゐて
てが いて
ふひてやる
ふいてやる
あしハ
あしは
うしろ尓
うしろに
ちゞこ
ちじこ
まり
まり
ゐて
いて
志ひり
しびり
を
を
きらし
きらし
飛多い
ひたい
ちりを
ちりを
つけて
つけて
こ多へ
こたえ
ゐる
いり
氣可いふ
きがいう
「こゝていち者ん
ここでいちばん
め可ら
めから
者奈へ
はなへ
ぬけ
ぬけ
でる
でる
やう奈
ような
うそを
うそを
つ可ふと
つかうと
思 ふ可゛
おもうが
者奈を
はなを
つ連て
つれて
こぬ可゛
こぬが
くやしひ
くやしい
(大意)
目はうそ泣きに泣き、うそ涙をこぼせば、そばに手がいて拭いてやる。
足はうしろに縮こまって座り、しびりをきらし、額に塵(ちり)を付けたりして我慢している。
氣が言う、「ここでひとつ、目から鼻へ抜け出るような嘘をつこうかとおもったが、鼻を連れてこなかったのが悔しい」。
(補足)
「そら奈ミ多゛を」、ちいさな「ミ」があります。やさしい手は自分の両手があるのに、あたまの手で拭いてやっています。目の着物柄のメガネがおしゃれです。
「飛多いちりをつけて」、額に塵や藁をつけてしびりをまぎらわす仕草。眉唾などとおなじ。
皆金を借りるためにそれぞれしらじらしい振る舞いをする中で、氣だけが殊勝にかしこまっている。
着物の柄は、目がメガネ、氣はキ、口はロ、そして足はア。
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