P27P28 国立国会図書館蔵
P28
(読み)
さて
さて
京 伝 ハ心 を
きょうでんはこころを
どう多゛うして
どうど うして
もとのむ年の所 へ多ち
もとのむねのところへたち
可へりけれハ心 ハ可の
かえりければこころはかの
さつ可りし三いろの
さづかりしみいろの
うちをひらき
うちをひらき
せいじんの
せいじんの
ゐし与を
いしょを
ミゝ尓与んで
みみによんで
き可せつぎ尓
きかせつぎに
ぢごくの
じごくの
ゑ川を目尓
えずをめに
ミせ又
みせまた
太 神 くうの
だいじんぐうの
P28
きよくいさぎ
きよくいさぎ
与きあらひ
よきあらい
よ年を口尓
よねをくちに
のませさて
のませさて
志んぎ
じんぎ
五じやうの
ごじょうの
奈王を
なわを
も川てあし
もってあし
手を志ハり
てをしばり
个れバきも
ければきも
於のつ可ら
おのずから
本んしやうに
ほんしょうに
可へり
かえり
(大意)
さて、京伝は心をともなって、もとの胸のところへ立ち帰ると、心はあの授かった三色の中を開き、聖人の遺書を耳に読んで聞かせた。次に、地獄の絵図を目に見せた。また、太神宮の清く潔い洗い米を口にのませた。さて、神器「五常の縄」をもって足・手をしばれば、氣もおのずから正気をとりもどした。
(補足)
「ゐし与」、「ゑ川」、「ゐ」のもと字は「為」、「ゑ」は「恵」。
「太神宮」、よく見ると「大神宮」ではありませんでした。意味はおなじ。
「五常」、「仁・義・礼・智・信」。
ここの絵は文章とまったく一致しています。耳は心の足元の聖人の遺書に見入り、目は地獄の絵図を見てのけぞりびっくり、その脇で京伝すまし顔。口は洗い米を口に含み、足・手は後ろ手に縛られ、あれっ、鼻、はなはどうした!
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