2024年1月2日火曜日

人間一生胸算用 その43

P17P18 国立国会図書館蔵

P18

(読み)

手ハ多いく川

てはたいくつ


してあ多まて

してあたまで


个んをする

けんをする


「ちへさやア

 ちぇさやぁ


「ごうさい

 ごうさい


「む可し

 むかし


く王んうハ

か んうは


ごをうち

ごをうち


奈可゛らうでの

なが らうでの


本年を

ほねを


けづら

けずら


せ多可゛

せたが


於まへハ

おまえは


个んを

けんを


うち

うち


奈可ら

ながら


本りものを

ほりものを


本らせるとハ

ほらせるとは


可゛う个つ

ご うけつ


\/

ごうけつ

(大意)

 手は退屈してあたまで拳をする。

「ちぇさやぁ」

「ごーさい」

「昔、関羽は碁を打ちながら、骨を削らせたというが、お前は拳を打ちながら、彫り物をほらせるとは、豪傑ごうけつ」

(補足)

「个ん」、現在のじゃん拳のお座敷遊び。ここのは【本拳】『二人が対座して互いに右手の五指をすばやく屈伸させ,両方の出した指数の合計を先に言い当てた者を勝ちとする。長崎拳』。「ちぇさやぁ」は七、「ごーさい」は五、なので太鼓持ちの勝ち。二、三の出し方が独特、お座敷遊びの出し方があったのでしょう。

「本りもの」、『いれずみ【入れ墨・〈刺青〉・〈文身〉】① 肌に針や刃物で傷をつけ,墨汁・朱・ベンガラ・緑青などの色素をすり込んで,文字・紋様・絵柄を描き出すこと。近世では,遊俠(ゆうきよう)の徒の間で盛んに行われた。彫り物。』とありました。ここでは筆と硯がありますので、墨汁を使っているようです。

 太鼓持ちの膝下にある南部鉄瓶のようなものは「提子(ひさげ)」、お酒の銚子とおなじ。

 太鼓持ちの細縞柄の縦線も手抜きすることなく丁寧です。

 

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