P21P22 国立国会図書館蔵
P22
(読み)
p21
口 可゛いふ
くちが いう
「この多ひの金 子
このたびのきんす
を於可しく多゛
をおかしくだ
されぬと
されぬと
和多くしハ
わたくしは
あい
あい
者て
はて
袮バ
ねば
P22
奈り
なり
ませぬ
ませぬ
可奈し
かなし
や\/ と
やかなしやと
そら\゛/しき口 本こを
そらぞら しきくちぼこを
申 うしろを
もうしうしろを
むいて志多を
むいてしたを
多している
だしている
耳 ハ奈んの志与せん
みみはなんのしょせん
も奈く人 そよめき尓
もなくひとそよめきに
此 所 へい川しよ尓
このところへいっしょに
き多り
きたり
大 キ尓う川天
おおきにうって
ミゝをふさぎいる
みみをふさぎいる
「こん奈さへぬ事 を
こんなさえぬことを
きくと志川多ら
きくとしったら
こまひもの
こまいもの
(大意)
口が言う、「このたびの金子をお貸しくだされぬと、わたしくしは相果てねばなりませぬ。悲しやかなしや」と、空々しくうまいことを言って、うしろを向いて舌を出している。
耳は何のあてもなく、なんとはなしに皆についてきてしまったが、ひどくがっかりして耳をふさいでいる。
「こんな白々しい事を聞くとわかっていたら、来なかったのに」
(補足)
「和多くしハ」、変体仮名「和」(わ)は平仮名の「い」とそっくりです。
「申うしろを」、送り仮名がついて「申うし」ではありません。
「志与せんも奈く」、所詮もなく、現在では所詮なになにとつかわれますけど・・・
「大キ尓う川天」、この「うって」は「打つ」なのか「鬱」なのか、さて・・・
耳の着物の柄は片仮名の「ミ」でしょうけど、羽織のほうの「H」or「エ」はさてさて・・・
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