P23 国立国会図書館蔵
(読み)
ふとあく可゛きざして
ふとあくが きざして
そのよひそか尓可の
そのよひそかにかの
可年を者んぶんぬすミ出し
かねをはんぶんぬすみだし
江戸げいしや尓
えどげいしゃに
可ミを引 つれとうし
かみをひきつれとうし
かご尓て江のしま
かごにてえのしま
可満くらとで可け
かまくらとでかけ
和可゛もので奈いと思 ひ
わが ものでないとおもい
於ゝくの金 をや多ら
おおくのかねをやたら
ミつちや尓於こつて
みっちゃにおごって
志まふ
しまう
なる本どあしの
なるほどあしの
於ごりハとうし
おごりはとうし
可ごくらひの
かごくらいの
ところ奈るべし
ところなるべし
(大意)
ふと魔がさして、その夜ひそかに、あの借りた金の半分を盗み出し、江戸芸者に太鼓持ちを引き連れて、通し駕籠で江の島・鎌倉へ出かけた。自分の金ではないとおもい、多くの金をやたらめったら奢ってしまった。
なるほど、足にとっての奢りは通し駕籠に乗るくらいのことらしい。
(補足)
「江戸げいしや尓可ミを引つれ」、かみ(神)は太鼓持ちのことですが、隠語大辞典なるもので調べると『遊客と遊女との間を幇助して、酒宴の興を添ふる男芸者のことをいふ。遊客を「大尽」といふから「大神」に音を通はせ、その神前で太鼓を持つといふ意から来たものである。幇間ともいふ。〔花柳語〕』とありました。なるほど、大尽のじんが神(じん→かみ)というわけです、う〜ん。
「とうしかご」、今で言うハイヤー。
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