2024年1月11日木曜日

人間一生胸算用 その52

P23 国立国会図書館蔵

(読み)

ふとあく可゛きざして

ふとあくが きざして


そのよひそか尓可の

そのよひそかにかの


可年を者んぶんぬすミ出し

かねをはんぶんぬすみだし


江戸げいしや尓

えどげいしゃに


可ミを引 つれとうし

かみをひきつれとうし


かご尓て江のしま

かごにてえのしま


可満くらとで可け

かまくらとでかけ


和可゛もので奈いと思 ひ

わが ものでないとおもい


於ゝくの金 をや多ら

おおくのかねをやたら


ミつちや尓於こつて

みっちゃにおごって


志まふ

しまう


 なる本どあしの

 なるほどあしの


於ごりハとうし

おごりはとうし


可ごくらひの

かごくらいの


ところ奈るべし

ところなるべし

(大意)

 ふと魔がさして、その夜ひそかに、あの借りた金の半分を盗み出し、江戸芸者に太鼓持ちを引き連れて、通し駕籠で江の島・鎌倉へ出かけた。自分の金ではないとおもい、多くの金をやたらめったら奢ってしまった。

 なるほど、足にとっての奢りは通し駕籠に乗るくらいのことらしい。

(補足)

「江戸げいしや尓可ミを引つれ」、かみ(神)は太鼓持ちのことですが、隠語大辞典なるもので調べると『遊客と遊女との間を幇助して、酒宴の興を添ふる男芸者のことをいふ。遊客を「大尽」といふから「大神」に音を通はせ、その神前で太鼓を持つといふ意から来たものである。幇間ともいふ。〔花柳語〕』とありました。なるほど、大尽のじんが神(じん→かみ)というわけです、う〜ん。

「とうしかご」、今で言うハイヤー。

 

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