2023年10月28日土曜日

桃太郎発端話説 その66

下P8P9 東京都立図書館蔵

下P8

(読み)

むくゆる多め明日そのもゝを

むくゆるためあすそのももを


可へすへしそのもゝをくらふ

かえすべしそのももをくらう


と起ハふう婦多ちまち和可

ときはふうふたちまちわか


や起可う\/尓して志可も里起

やぎこうこうにしてしかもりき


りやうひと尓春ぐれ多るいつし

りょうひとにすぐれたるいっし


をもつべしそのこ可奈らず

をもつべしそのこかならず


奈んぢら可゛多め尓於尓可゛し満

なんじらが ためにおにが しま


尓い多り多可らをとり可へし

にいたりたからをとりかえし


てあ多をむくふま多ふうふ可゛

てあだをむくうまたふうふが


あ王れミ多るさるきちいぬ

あわれみたるさるきじいぬ


とも尓ち可らをそへておんを

ともにちからをそえておんを


むくゆべしふ多ゝび可く

むくゆべしふたたびかく


まづしく奈るともてんとう

まずしくなるともてんとう

(大意)

(その恩に)報いるため、明日その桃を

与えます。その桃を食べると夫婦はたちまち若やぎ、

孝行にしてしかも力量ひとに優れる一子をもうけるでしょう。

その子はかならず汝らがために鬼ヶ島へ向かい、宝を取り返して

仇をとってくれます。また夫婦が大切に育てた猿・雉・犬、

ともに力をあわせて、今までの恩をかえしてくれるでしょう。

 再びこのように貧しくなっても、天道(てんとう)は

(補足)

「あ多をむくふ」、「あ」のかたちは現在の「お」から「ゝ」をとったもの。

囲炉裏の鉄瓶とそれをつるす自在鉤(じざいかぎ)を半分描くような構図にしています。わざと隠して見るものの想像にまかせるという基本的な技でしょうけど、うまいものです。

洗濯物のように干してあるのはタバコの葉。

婆さんが肘をかけているところと、爺さんの奥の絵を貼ってある屏風?あたりの位置関係がどうもよくわかりません。

 

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