中P8 東京都立図書館蔵
(読み)
志やうじ起ふう婦
しょうじきふうふ
かの可ろ起つゝら
かのかろきつづら
をもらひ可へり
をもらいかえり
うちをひら起
うちをひらき
てミれバおゝく
てみればおおく
の多可らものを
のたからものを
つめお起多り
つめおきたり
春ゞめの多可ら
すずめのたから
とて竹 のこ能
とてたけのこの
可く連可ささゝ
かくれがさささ
の者能可くれミの多けやまちの
のはのかくれみのたけやまちの
き連で者り多るうちでの小つち
きれではりたるうちでのこづち
その本可さゝづるきれのま起もの
そのほかささづるきれのまきもの
よ尓まれ奈る志奈\/をい連お起
よにまれなるしなじなをいれおき
多りこ連こどもし由のおめさ
たりこれこどもしゅのおめざ
まし尓む可し者゛奈しの多者れ
ましにむかしば なしのたわれ
ごと奈可゛らゐんとくあれバ
ごとなが らいんとくあれば
やう本うあるの多とへとハ
ようほうあるのたとえとは
志られ多り
しられたり
(大意)
正直夫婦はあの軽い葛籠をもらい帰りました。
中を開けてみると、たくさんの宝物がつめこまれていました。
雀の宝物でしたので、竹のこの隠れ笠・笹の葉の隠れ蓑・
竹屋町の布切れで張った打出の小槌、その他、笹鶴切れの巻物、
世にもまれな品々が入っていたのでした。
これらのことはお子様方の目覚ましに、昔噺のたわごとでありますが
「陰徳あれば陽報あり」のたとえとして知られていることであります。
(補足)
宝の品々の名前の区切りが悩みます。
「多けやまちのき連」、京都竹屋町で作り始めた軽く薄い生織物。
「さゝづるきれ」、中国明代の名物切れ。黄緑地に笹の葉に似た蔓草に織りだした緞子。
「陰徳あれば陽報あり」〔淮南子人間訓〕人知れず善行を積んだ者には必ずよい報いがはっきりと現れる。とありました。
「志奈\/をい連お起多りこ連こどもし由の」、変体仮名「連」(れ)がふたつあります。ふたつめは「れ」と読めますが、もう一つはちょっと難。
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