下P4P5 東京都立図書館蔵
下P5
(読み)
ふう婦可゛
ふうふが
多可らを
たからを
ゑ多る事 を
えたることを
心 尓くゝ思 ひ
こころにくくおもい
於尓の大 王うへ
おにのだいおうへ
春ゝめて志やうじき
すすめてしょうじき
ぢゝ可゛多可らものを
じじが たからものを
奴すませんと
ぬすませんと
多くむふて起
たくむふてき
奈り个るせんさく奈り
なりけるせんさくなり
「そん奈ら奈んでも
そんならなんでも
い王と可ぐらの
いわとかぐらの
くろどんとで可け
くろどんとでかけ
ずハ奈らずの
ずはならずの
もり能大 てんぐ
もりのおおてんぐ
ときん尓とつての
ときんにとっての
きちずい多
きちずいだ
(大意)
(正直)夫婦が宝物を手に入れたことを心憎くおもい、
鬼の大王に正直夫婦の宝物を盗ませようと勧め、企んだのでした。
大胆で恐れを知らない謀(はかりごと)でありました。
「岩戸神楽の音楽に合わせて、そっと黒子で忍び寄れば
宝物を奪う絶好の機会だ」
(補足)
「奈らずのもり能大てんぐときん尓とつてのきちずい多」、「奈らずのもり能大てんぐ」は成るに引っ掛けた洒落。「ときん(頭巾)」は天狗などが頭にのせている小さな頭巾。「ときん尓とつてのきちずい多」は時にとっての吉瑞の洒落。とものの本にはありました。ここの鬼の大王のセリフは洒落だらけで、その洒落も深い予備知識がないとわかりません。
鬼の大王の脇息、脚が猫脚ならぬ鬼脚で上部は鬼の顔が彫り込んであります。
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