2023年10月25日水曜日

桃太郎発端話説 その63

下P6P7 東京都立図書館蔵

下P7

(読み)

「あと奈る於尓ゝもの

 あとなるおににもの


とへバお尓らハ志ら奴

とえばおにらはしらぬ


とついとおる

とついとおる


「こうふろし起

 こうふろしき


づゞみを志よつ多

づつみをしょった


ところハ可ぜの

ところはかぜの


可ミのかミくす

かみのかみくず


ひろいとミへ

ひろいとみえ


やう可゛や

ようが や


「お尓のめ尓も

 おにのめにも


やミ多゛とハこの

やみだ とはこの


こつてあんへい

こってあんべい


くらひぞ\/

くらいぞくらいぞ


「や連尓げろ

 やれにげろ


\/

にげろ

(大意)

 あとから遅れて逃げてきた鬼にきいてみると、

そんなことは知らぬとそっけなく通っていった。

「こんなふうに風呂敷包みを背負ったところは、

風の神が紙屑拾いのようにみえてしまうだろうな」

「鬼の目にも闇だというのは、このこったろうよ、

暗いぞ暗いぞ」

「やれ、逃げろ逃げろ」

(補足)

「お尓らハ志ら奴」⇒「おいらは知らぬ」。「お尓のめ尓もやミ多゛」⇒「鬼の目にも涙」。と洒落続き。

「あと奈る於尓ゝ」、変体仮名「於」(お)は元字に近いかたち。「ゝ」があるようなないような感じ。

「ふろし起」、「ろ」は「つ」のような「ろ」のようで悩みます。この数行後の「ひろい」もおなじ。

「志よつ多」、「よつ」がよくわかりませんでしたが、前後の流れから判断できます。

「このこつてあんへい」、「つ」と「へ」がそっくり。

 打ち出の小槌を右手にして逃げる鬼、風呂敷柄はやはり唐草文様のようにも雲柄にも見えます。

 

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