下P6P7 東京都立図書館蔵
下P7
(読み)
「あと奈る於尓ゝもの
あとなるおににもの
とへバお尓らハ志ら奴
とえばおにらはしらぬ
とついとおる
とついとおる
「こうふろし起
こうふろしき
づゞみを志よつ多
づつみをしょった
ところハ可ぜの
ところはかぜの
可ミのかミくす
かみのかみくず
ひろいとミへ
ひろいとみえ
やう可゛や
ようが や
「お尓のめ尓も
おにのめにも
やミ多゛とハこの
やみだ とはこの
こつてあんへい
こってあんべい
くらひぞ\/
くらいぞくらいぞ
「や連尓げろ
やれにげろ
\/
にげろ
(大意)
あとから遅れて逃げてきた鬼にきいてみると、
そんなことは知らぬとそっけなく通っていった。
「こんなふうに風呂敷包みを背負ったところは、
風の神が紙屑拾いのようにみえてしまうだろうな」
「鬼の目にも闇だというのは、このこったろうよ、
暗いぞ暗いぞ」
「やれ、逃げろ逃げろ」
(補足)
「お尓らハ志ら奴」⇒「おいらは知らぬ」。「お尓のめ尓もやミ多゛」⇒「鬼の目にも涙」。と洒落続き。
「あと奈る於尓ゝ」、変体仮名「於」(お)は元字に近いかたち。「ゝ」があるようなないような感じ。
「ふろし起」、「ろ」は「つ」のような「ろ」のようで悩みます。この数行後の「ひろい」もおなじ。
「志よつ多」、「よつ」がよくわかりませんでしたが、前後の流れから判断できます。
「このこつてあんへい」、「つ」と「へ」がそっくり。
打ち出の小槌を右手にして逃げる鬼、風呂敷柄はやはり唐草文様のようにも雲柄にも見えます。
0 件のコメント:
コメントを投稿