P4P5 東京都立図書館蔵
P4
(読み)
つちもきも和可゛お本きミの
つちもきもわが おおきみの
く尓奈れバいづく可
くになればいづくか
お尓のやどゝさ多゛
おにのやどとさだ
めんときのとも
めんときのとも
お可゛ゑいぜしも
おが えいぜしも
こと王りぞ可し
ことわりぞかし
かしら尓つのをい多ゞ
かしらにつのをいただ
きとらの可王のふどし
きとらのかわのふどし
ハ志めねどもミち尓
はしめねどもみちに
そむけるものハあく
そむけるものはあく
まともお尓とも奈る
まともおにともなる
べしき可い可゛し満尓
べしきかいが しまに
お尓ハ奈くお尓ハ
おにはなくおには
ミやこ尓あるぞ
みやこにあるぞ
可しと尓ようご能
かしとにょうごの
志満のもんくもむべ奈り
しまのもんくもむべなり
(大意)
「土も木も我が大君の国なればいづくか鬼の宿と定めん」と、
紀朝雄が詠ったのも理にかなったことである。
頭に角をはやし、虎の皮の褌をしめていないが、
人の道に背けるものは、悪魔とも鬼ともなるであろう。
「鬼界ヶ島に鬼はなく、鬼は都にこそいるのだ」と、
女護の島の言い分ももっともなことである。
(補足)
出だしからつまづいて、どこできるのかもよくわからない。何度か音読してようやくなるほどと。「さ多゛めんと」で区切るので、その印「句点(。)」がついています。
区切りがわからないときは、不明なところは保留しておいてまずは流して全文を読むのが一番です。
紀朝雄の詠んだ「土も木も・・・」は、日本の国土も森も我が大君の国のものである。どこに鬼の居場所があるのか(あるわけがなかろう)、といった意味合い。
「ぞ可し」、(連語)〔文末に用いられた係助詞「ぞ」に終助詞「かし」が付いたもの〕
強く念を押して断定する意を表す。「我はこのごろ悪(わろ)き―」〈更級日記〉「かげろふのゆふべを待ち,夏の蟬の春秋をしらぬも有る―」〈徒然草•7〉
「尓ようご能志満」、【女護の島】
① 女性だけが住んでいるという想像上の島。中国の「三才図会」に記述があり,近世には八丈島をそれにあてる風説もあったという。
② 女性ばかりがいる所。「朱雀の御所は―」〈浄瑠璃・平家女護島〉
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