2023年10月10日火曜日

桃太郎発端話説 その48

下P1 東京都立図書館蔵

(読み)

けんどん者゛ゝハおも起つゞらを

けんどんば ばはおもきつづらを


もち可へりし可゛いつ多いこの

もちかえりしが いったいこの


つゞらハちくら可゛お起尓てひろひ

つづらはちくらが おきにてひろい


多るあくまけどうをこめ

たるあくまげどうをこめ


おきしつゞら奈連バふ多をあける

おきしつづらなればふたをあける


までも奈く多ちまち奈可より

までもなくたちまちなかより


めり\/とつゞらをこ王しゐぎやう

めりめりとつづらをこわしいぎょう


のきじんあら和れけんどん者゛ゝを

のきじんあらわれけんどんば ばを


ち う尓つ可んでお尓可゛し満へとび

ちゅうにつかんでおにが しまへとび


由起しハてんこちも奈起志多゛い奈り

ゆきしはてんこちもなきしだ いなり

(大意)

 慳貪婆は重い葛籠を持ち帰りましたが、

そもそもこの葛籠は、築羅の沖で拾った悪魔・外道を

押し込めた葛籠でありましたので、蓋を開けるまでもなく、

たちまち中よりメリメリと葛籠をこわし、

異形の鬼神あらわれ、慳貪婆を宙につかんで、

鬼ヶ島へ飛んで行ってしまうとは、

とんでもない次第なのでした。

(補足)

 スラスラと読めるところです。

「おも起つゞら」とその2行となりの「ちくら可゛お起」の変体仮名「於」を比較するとだいぶ形がことなります。

 鬼の髭や後れ毛、婆の逆立つ髪の毛がやけに丁寧に一本一本はっきり描かれてます。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿