下P1 東京都立図書館蔵
(読み)
けんどん者゛ゝハおも起つゞらを
けんどんば ばはおもきつづらを
もち可へりし可゛いつ多いこの
もちかえりしが いったいこの
つゞらハちくら可゛お起尓てひろひ
つづらはちくらが おきにてひろい
多るあくまけどうをこめ
たるあくまげどうをこめ
おきしつゞら奈連バふ多をあける
おきしつづらなればふたをあける
までも奈く多ちまち奈可より
までもなくたちまちなかより
めり\/とつゞらをこ王しゐぎやう
めりめりとつづらをこわしいぎょう
のきじんあら和れけんどん者゛ゝを
のきじんあらわれけんどんば ばを
ち う尓つ可んでお尓可゛し満へとび
ちゅうにつかんでおにが しまへとび
由起しハてんこちも奈起志多゛い奈り
ゆきしはてんこちもなきしだ いなり
(大意)
慳貪婆は重い葛籠を持ち帰りましたが、
そもそもこの葛籠は、築羅の沖で拾った悪魔・外道を
押し込めた葛籠でありましたので、蓋を開けるまでもなく、
たちまち中よりメリメリと葛籠をこわし、
異形の鬼神あらわれ、慳貪婆を宙につかんで、
鬼ヶ島へ飛んで行ってしまうとは、
とんでもない次第なのでした。
(補足)
スラスラと読めるところです。
「おも起つゞら」とその2行となりの「ちくら可゛お起」の変体仮名「於」を比較するとだいぶ形がことなります。
鬼の髭や後れ毛、婆の逆立つ髪の毛がやけに丁寧に一本一本はっきり描かれてます。
0 件のコメント:
コメントを投稿