2023年10月15日日曜日

桃太郎発端話説 その53

下P2P3 東京都立図書館蔵

下P3

(読み)

べ起いへも奈个れバ

べきいえもなければ


や者りつ可へ多起

はやりつかえたき


与し袮可゛うちく

よしねが うちく


るい奈可゛ら志由

るいなが らしゅ


せ う奈ること

しょうなること


ども奈り

どもなり


さ連バけんどん者゛ゝ可

さればけんどんば ばが


ことくあくをこの

ごとくあくをこの


めハ多ちまち

めばたちまち


和ざ王いをま袮起

わざわいをまねき


志やうし起ぢゝ可゛

しょうじきじじが


ごとくぜんを

ごとくぜんを


志由すれバさい

しゅすればさい


王いを可ふむる

わいをこうむる


てんとうさ満ハ

てんとうさまは


ミとうし

みとうし


ぞや奈んと

ぞやなんと


こどもし由

こどもしゅ


可゛てん可\/

が てんかがてんか

(大意)

 (帰る)べき家もないので、このまま仕えたいとの

願いであった。畜類ながら殊勝なることであった。

 しかし一方慳貪婆のように悪を好めば

たちまち禍を招き、正直爺のように、

善を修め身につければ、幸いを与えられる。

お天道様はお見通しなのである。

どうだろう、子どもたちよ

わかってくれたか、わかったか。

(補足)

「和ざ王いをま袮起」、「わ」の変体仮名「和」「王」ですが微妙に発音がことなったのかもしれません。ここの変体仮名「袮」は7行手前の「袮」よりもう少しくずしたもののようにみえます。

 三者三様、背中の線が猿はゆるくへこみ、犬はなだらか、雉がややまるくと場面に変化をつけています。犬の着物柄は犬のぶち柄そのままみたい、帯を後ろで締めているのは尻尾?

 

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