2023年10月4日水曜日

桃太郎発端話説 その42

中P9 東京都立図書館蔵

(読み)

と奈りのけんどん者゛ゝよくふ可起

となりのけんどんば ばよくふかき


こゝろよりうらやましく思 ひ

こころよりうらやましくおもい


お奈じやう尓春ゞめ能可くれ

おなじようにすずめのかくれ


さとへ多ず年き多り徒ゞらを

さとへたずねきたりつづらを


もらハんといふ

もらわんという


「こんどハすゞめもあまり

 こんどはすずめもあまり


ちそうをせず奈可ま能

ちそうをせずなかまの


うぐひすもちでま尓

うぐいすもちでまに


あ王せる

あわせる


「志多きり

 したきり


すゞめ

すずめ


「うづらのちゝつく王いでハ

 うずらのちちつくわいでは


奈ふてつゞら能ご志由川

のうてつづらのごしゅつ


く王い尓ミへ多のじや奈

くわいにみえたのじゃな

(大意)

 隣の慳貪婆は欲深く、ほんとうに羨ましくおもい。

同じようにして雀の隠れ里へ尋ねやって来ました。

 葛籠をもらおうと頼みました。

今度は雀もあまり馳走せず、仲間のうぐいす餅で

間に合わせました。

舌切雀「うずらの鳴き声ではなくて、

あれこれ不平を言って葛籠を欲しがったのじゃな

(補足)

「志由川く王い」、じゅっかい ―くわい【述懐】② 〔「しゅっかい」とも〕不平・うらみ・愚痴(ぐち)などをいうこと。「かの者―もことわりとぞ憐みける」〈咄本・醒睡笑〉。とありました。

「ちゝつく王い」は辞書にもなく、ものの本の解説に頼りました。洒落ているようではあります。

「春ゞめ能可くれ」、「可くれ」が読みづらい。

 

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