2023年10月7日土曜日

桃太郎発端話説 その45

中P10 東京都立図書館蔵

(読み)

けんどん者゛ゝ

けんどんば ば


可゛よくの者り

が よくのはり


つゞらハつミの

つづらはつみの


於も起ことつ徒゛

おもきことつづ


ら与り波奈

らよりはな


者多゛し心  能よくの

はだ しこころのよくの


れん志゛やく尓つ奈可゛れて

れんじ ゃくにつなが れて


つミをつゞらととも尓

つみをつづらとともに


於い奴こどもし由

おいぬこどもしゅ


古ゝら可゛よいめのつけ

ここらが よいめのつけ


どころじや可゛てん可\/

どころじゃが てんかがてんか

(大意)

 慳貪婆が葛籠を欲張ってもらった

罪はその葛籠より甚だしく重い。

 心のままの欲深き心は背負紐につながれ、

罪を葛籠とともに背負っている。

 子どもたちよ、このようなところに目をつけて、

人としての生き方を考えるのだよ、わかってくれたか、

どうだ、わかってくれたか。

(補足)

「於も起ことつ徒゛ら与り波奈者多゛し心能」、平仮名「た」のようにみえるのは変体仮名「於」(お)。「こと」は「こ」と「と」が一文字になった合字。次に「与り」がありますが、これは合字のフォントがあり「ゟ」です。平仮名「は」のようにみえるのは変体仮名「波」(は)。他にも変体仮名がいくつも使われています。

 「つミをつゞらととも尓於い奴」、うまいいいまわしです。子どもたちに諭しているようで実は自分に、そしてまわり人々への呼びかけであります。

「れん志゛やく」、「連尺」は婆が仁王立ちになって葛籠を背負っているのに使っている紐。

 

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