下P6P7 東京都立図書館蔵
下P7
(読み)
「あのいぬめハお本き奈
あのいぬめはおおきな
さ満で本へるハ\/ 可うしんさ満
さまでほえるはほえるはこうじんさま
の保へるハ\/ とき多ハ
のほえるはほえるはときたは
「犬 本゛年おつて
いぬぼ ねおって
多可らとらるゝ
たからとらるる
とまうすハこの
ともうすはこの
と起よりぞ者し
ときよりぞはじ
まり个り
まりけり
下P6
「奈んでも六 多゛んめの
なんでもろくだ んめの
きり尓ハ思 ひ志らせて
きりにはおもいしらせて
こ満そうとおもふ多尓てんと
こまそうとおもうたにてんと
よいきミ\/ おもひ志つ多可
よいきみよいきみおもいしったか
王ん\/\/
わんわんわん
\/\/
わんわん
(大意)
「あの犬の奴は、ずいぶんと大きな声で吠えるなぁ。
荒神様の御絵馬の売り子の声のようだわな」
「諺『犬骨折って宝とらるる』と申すは
このときより始まったのである」
「なんとしても六段目の切で思いしらせてやろうと
したが、(早い出番で)してやった。まったくいい気味だ。
おもいしったか。わんわんわん、わんわん」
(補足)
「保へるハ\/」、変体仮名「保」(ほ)と気づくには少々時間がかかりました。ものの本には『荒神様は竈の神様。毎月末に絵馬を売り歩き、その売り声が「荒神様の御絵馬御絵馬であった」』とありました。
「犬本゛年おつて・・・」、この部分、少しかすれていることもあって、読みづらい。「とらるゝ」「まうすハ」がわかりにくい。
「奈んでも六多゛んめのきり尓ハ」、この犬の台詞部分はものの本に頼らねば意味不明。『「仮名手本忠臣蔵」の六段目、勘平腹切の場のこと。ここは最後の仕納めの場面の意』
このように、当時の歌舞伎や文楽などの引用や、有名料理店や江戸の街のアチラコチラの噂話などを持ち出されるとお手上げになってしまいます。
犬と婆をよく見ると、犬や婆の毛は線で描くのではなく輪郭を毛でなぞるように描いています。こうするとなるほどそれっぽくみえます。「惡」婆は犬に噛み殺されてしまいました。
蔵の壁を破壊し穴を開けていますが、実際はほぼ不可能。こんなふうにしたら見つかるに決まってます。壊された壁にはちゃんと中にある竹で編んだものが描かれていてなかなか細かい。
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