下P4P5 東京都立図書館蔵
下P5
(読み)
奈ん尓もくろ鬼 する
なんいもくろおにする
ことハねへほう可しの
ことはねえほうかしの
こ可゛多奈ざいく
こが たなざいく
でハねへのこぎり
ではねえのこぎり
かん奈与起まさ可り
かんなよきまさかり
のミこみやまの
のみきみやまの
春ミつ本゛多゛
すみつぼ だ
「まづまへい王ひ尓四方の
まずまえいわいによもの
多起すいを
たきすいを
もめやう
もめよう
「そいつハふ川ちめ
そいつはぶっちめ
印 とせずハ奈るまい
しるしとせずばなるまい
「うまいハ
うまいは
\/
うまいは
(大意)
「なんにも苦労(黒鬼)することはねえ。
大道芸人の小刀を細工してのみ込む芸ではねえ。
鋸・鉋・斧(よき)・鉞(まさかり)・鑿(のみ)こみ山の墨壺だ」
「まず前祝いに四方(よも)の瀧水(たきすい)で一杯やろう」
「そいつは(宝物は)、奪い手に入れなければなるまい」
「うまいはうまいは」
(補足)
「のミこみやまの春ミつ本゛多゛」、墨壺で大工道具尽くしのセリフをしめています。「のミこみやま」は呑み込んだ⇒承知した、と放下師の小刀を呑み込むををうけての洒落。
「四方の多起すい」、四方の瀧水という銘酒。ネットで調べると今でもありました。「四方」がすぐには読めません。
「もめよう」、「もめる」に『⑤( →4の意から転じて)費用を負担する。おごる。「それは私が―・めまする」〈歌舞伎・けいせい壬生大念仏〉』という意味があります。
「ふ川ちめ印」、『ぶっち・める 【打っ締める】② 手に入れる。奪う。ものにする。「今夜あの娘を―・めて見せやう」〈滑稽本・東海道中膝栗毛•2〉』。印のくずし字は前にも出てきました。偏と旁が上下になっています。「印」は単なる語呂合わせ。
大王の後ろにひかえる鬼が若いのか顔がかわいらしい。大王をのぞいて、他の鬼たちはチャッチャッチャと描きあげた感じです。
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