下P1 東京都立図書館蔵
(読み)
「もゝんぐ王ア奈んどいふやう奈
ももん があなんどいうような
奈まけ多事 でハ奈ひアゝ徒のもねへ
なまけたことではないああつのものへ
「奈んとすさまじ
なんとすさまじ
可ろふ可や
かろうかや
「こうつるし
こうつるし
あげられ
あげられ
てハそつ
てはそっ
ちのお尓ミゟ
ちのおにみより
こつちのこめ
こっちのこめ
可ミ可い多印
かみがいたしるし
い多いのねと
いたいのねと
き多
きた
ハ
は
「アゝ
ああ
多すけ
たすけ
給 へ\/
たまえたまえ
(大意)
「ももんがぁなどというふざけた我らではないぞ。
(この慳貪婆は)角もねぇ」
「(こめかみをつかまれている慳貪婆の痛がりようは)なんとも
凄まじいものだ」
「こんなに吊るし上げられては、そっちの鬼の身より
こっちのこめかみがいた印の痛いときたぞ」
「あぁ助け給え給え」
(補足)
「事」のくずし字は、平仮名「る」のようなかたち。
「印」のくずし字は、偏と旁が上下になるくずし字はたくさんあって、印もその一つ。
「給」のくずし字は、バネの螺旋のように2重にクルクルまわします。
北斎の特徴はこのような絵をみるとよくわかります。あらっぽく勢いよく描いてはいますが、鬼たちの一瞬の動きをとらえていて、まさに連続撮影した分解写真のひとつであるようにもみえますが、北斎のほうが何倍も生き生きしています。
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