2023年10月27日金曜日

桃太郎発端話説 その65

下P8P9 東京都立図書館蔵

下P8

(読み)

志やうじ起ふう

しょうじきふう


ふハお尓ゝ多可ら

ふはおににたから


をとられむ可しの

をとられむかしの


ふう起ひ起可へて

ふうきひきかえて


いまハもとの志

いまはもとのし


者゛のい本り尓引

ば のいおりにひき


こミふう婦ひん

こみふうふひん


くを志の起゛个る可

くをしのぎ けるが


あるひふう婦と

あるひふうふと


ろ\/とまどろミ

ろとろとまどろみ


个る尓ゆめとも

けるにゆめとも


奈くうつゝとも

なくうつつとも


なくさね可多

なくさねかた


あそんあらハ連

あそんあらわれ


給 ひ奈んじふ可う

たまいなんじふこう


尓して和さ王いを

にしてわざわいを


うく和連む可し

うくわれむかし


奈んぢ尓もゝをこひて

なんじにももをこいて


うゑを志の起゛多りそのおんを

うえをしのぎ たりそのおんを

(大意)

 正直夫婦は鬼に宝を取られ、昔の豊かな生活に引きかえ、

今はもとの柴の庵(いおり)に目立たぬよう住むようになり、

夫婦は貧しさ苦しさをなんとかしのいでいた。

 そんなある日夫婦がとろとろとまどろんでいると、

夢ともなく現(うつつ)ともなく、実方朝臣が現れていらっしゃった。

「なんじ不幸にして禍を受けました。わたしは昔なんじに桃を求めて飢えをしのぎました。その恩に(報いるため)

(補足)

「ひ起可へて」、「ひ」の最後が次に続いてしまっています。

「もとの」、「も」がずいぶんかすれてしまってます。

 正直夫婦うとうとしながら、その吹き出しのでかいこと。囲炉裏の鉄瓶のデカさよりもすごい。

 

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