2023年10月22日日曜日

桃太郎発端話説 その60

下P4P5 東京都立図書館蔵

下P4

(読み)

あの志やうじ起めハいつ可どの

あのしょうじきめはいっかどの


多可らをせしめていまハまぶ奈

たからをせしめていまはまぶな


可年もち尓奈りおりまし多

かねもちになりおりました


和し尓ハおまへ可゛多を

わしにはおまえが たを


つめこん多゛つゞらを

つめこんだ つづらを


あて可゛ふててん志゛やうを

あてご うててんじ ょうを


ミせまし多

みせました


いや者や者らの

いやはやはらの


多つ多せんさくさ

たったせんさくさ


「お尓ひとくち尓のミ

 いにひとくちにのみ


こミのよいし由う

こみのよいしゅう


じや

じゃ

(大意)

「あの正直なやつめは、一財産になる宝物をせしめ、

いまでは本当の金持ちになりました。

わたしにはお前方を詰め込んだ葛籠をあてがわれて、

ひどい目にあわされました。いやはや腹のたつ次第さ」

「鬼たちはあっさり引き受けてくれてよい衆じゃ」

(補足)

「者らの多つ」、「ら」に点がひとつ多くあります。

「まぶ」、『まぶ(名•形動)文ナリ

③ 本物である・こと(さま)。「一廉の宝をせしめて今は―な金持になりました」〈黄表紙・桃太郎発端話説〉』と、この本が用例にのっていました。

慳貪婆、鬼たちにお願いしているからなのか、刺々しさがなくなってこびいる表情。

 

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