下P4P5 東京都立図書館蔵
下P4
(読み)
あの志やうじ起めハいつ可どの
あのしょうじきめはいっかどの
多可らをせしめていまハまぶ奈
たからをせしめていまはまぶな
可年もち尓奈りおりまし多
かねもちになりおりました
和し尓ハおまへ可゛多を
わしにはおまえが たを
つめこん多゛つゞらを
つめこんだ つづらを
あて可゛ふててん志゛やうを
あてご うててんじ ょうを
ミせまし多
みせました
いや者や者らの
いやはやはらの
多つ多せんさくさ
たったせんさくさ
「お尓ひとくち尓のミ
いにひとくちにのみ
こミのよいし由う
こみのよいしゅう
じや
じゃ
(大意)
「あの正直なやつめは、一財産になる宝物をせしめ、
いまでは本当の金持ちになりました。
わたしにはお前方を詰め込んだ葛籠をあてがわれて、
ひどい目にあわされました。いやはや腹のたつ次第さ」
「鬼たちはあっさり引き受けてくれてよい衆じゃ」
(補足)
「者らの多つ」、「ら」に点がひとつ多くあります。
「まぶ」、『まぶ(名•形動)文ナリ
③ 本物である・こと(さま)。「一廉の宝をせしめて今は―な金持になりました」〈黄表紙・桃太郎発端話説〉』と、この本が用例にのっていました。
慳貪婆、鬼たちにお願いしているからなのか、刺々しさがなくなってこびいる表情。
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