2023年10月29日日曜日

桃太郎発端話説 その67

下P8P9 東京都立図書館蔵

下P8

(読み)

い可んぞ奈んぢら可゛志やうじきを

いかんぞなんじらが しょうじきを


可んじ多満王さらんやゐんとく

かんじたまわざらんやいんとく


あ連バよう保うありしやく

あればようほうありしゃく


ぜんのいへ尓ハ可奈らすよけい

ぜんのいえにはかならずよけい


あり奈んぢら可゛春へ尓ハま多

ありなんじらが すえにはまた


大 ふう起の

だいふうきの


ミと奈るべし

みとなるべし


由め\/

ゆめゆめ


う多がふ

うたがう


こと


奈可れ

なかれ


とつげ

とつげ


給 ひすまん

たまいすまん


のすゞめとけし

のすずめとけし


とびさり給 ふ

とびさりたまう


「とひよ\/ \/

 とひょとひょとひょ


とひよしやうじき

とひよしょうじき


お起よ志やう

おきよしょう


し起

じき


「志やうじき

 しょうじき


フウ\/

ふうふう


ゴウ

ごう


\/

ごう


「志やうじきふう婦ハねごと

 しょうじきふうふはねごと


尓まで志やうじ起奈事 を

にまでしょうじきなことを


いふ

いう


「お者゛ゝやひと尓可り多もの

 おば ばやひとにかりたもの


ハ者やく可へして可し多

ははやくかえしてかした


ものハずいぶんおそく

ものはずいぶんおそく


とりやれや

とりやれや


志やうじ起

しょうじき


フウ

ふう


\/

ふう

(大意)

どうして汝らの正直を感じらっしゃらないということがあろうか。ひそかに徳を重ねればかならずよい報いをうけるものです。善行を積み重ねる家には必ずおもいかけぬ慶事があるのです。汝らの将来は、ふたたび大富豪の身の上となりましょう。ゆめゆめ疑うことなかれ」

と告げられて、数万羽の雀となって飛び去られました。

「とひよとひよとひよ、とひよ正直(爺)、お起よ正直(夫婦)」

正直ふうふうごうごう。

正直夫婦は寝言にまで正直なことを言う。

「お婆や、人に借りたものは早く返して、貸したものはできるだけ遅く返してもらうようにな。正直夫婦(ふうふ)う」

(補足)

「い可んぞ」、「如何(いか)にぞ」に同じ。『③ (反語に用いて)どうして…であろうか(…ない)』

 雀に化している実方朝臣雀のお告げの場面。

「給ふ」、くずし字がバネのようにクルクルっと2重になってすぐに覚えられます。

「う多可゛ふ事」、「事」のくずし字は平仮名「る」のようなかたち。

「とひよ\/\/」、歌舞伎の下座音楽の一つ。鳥の鳴き声のものまねで、「暫(しばらく)」などの舞台で、花道から本舞台へ進むときなどに用いる、とものの本にはありました。

 縁側にたてかけてある鋤(すき)。花咲爺のここほれワンワンでつかった鋤でしょうか。

噺がこんがらがってきてます、う〜ん。

 

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