下P2P3 東京都立図書館蔵
下P3
(読み)
「おひとまこいの御志 う
おいとまごいのごしゅう
ぎ尓せ起そろでちと
ぎにせきぞろでちと
せりふをこじつけませ う
せりふをこじつけましょう
「きじれい可王らず王ん王の
こじれいかわらずわんわの
お尓ハへまひこめとびこめ
おにわへまいこめとびこめ
きや川\/ と小ざるや
きゃっきゃっとこざるや
いぬころ
いぬころ
きし可いふ
きじがいう
「志゛しんの
じ しんの
と起ハ
ときは
さつそく
さっそく
御志らせ
おしらせ
申 ませ う
もうしましょう
「多ん\/の
だんだんの
御きやうくん
ごきょうくん
あり可゛多ふ
ありが とう
ぞんじ
ぞんじ
ます
ます
御ふう婦
ごふうふ
の御おんハ
のごおんは
和すれま
わすれま
せ奴
せぬ
(大意)
「お暇乞いの御祝儀に、節季候(せきぞろ)で
ちょっとセリフをこじつけて踊りましょう。
〽雉はいつもとかわらず、
わんわのお庭へ
舞い込め飛び込め、
きゃっきゃっと、
小猿や犬ころ」
雉が言う
「地震のときは早速お知らせ申しましょう」
「かさねがさねのご教訓、
ありがとう存じます。御夫婦の御恩は
忘れませぬ」
(補足)
会話のセリフは、きし可いふ、とあるように誰のものかを示すことはほとんどなく、セリフの内容で判断するしかなさそうです。「」で記されている順番や場所とはあまり関係ないようです。
「きや川\/ と小ざるや」、猿の鳴き声「きゃっきゃっ」なのですが、字面からはちっともそんな雰囲気がありません。「小」猿は「子」でしょうし、かたちは変体仮名「尓」です。
「きし可いふ」、一見するとよくわからないのですが、「」の前なので「言う」と予想。
「多ん\/の御きやうくん」、「うくん」が読みづらくなんとか御教訓とわかると、多ん\/がなんだろうと。ちと考えてこれは「多゛ん多゛ん」ではないかな、辞書で調べるとありました。それに島根の方言にだんだんがあったこともヒントになりました。
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