裏表紙 個人蔵
(読み)
なし
(大意)
なし
(補足)
このちりめん本の裏表紙は擦り切れて穴があいて縁もよれよれになってしまっています。しかし大和綴じの部分はちぎれることなくしっかりとその役目をはたしています。
裏表紙の絵はなかなかこっています。灯籠流しのような灯火が波間をうねうねと漂い沖へ伸びています。龍神の背びれをおもわせ、波の細かな表情は竜のひげのようにも、姫の髪のようにもみえます。
長谷川武次郎さんが用いたちりめんの技法は錦絵や浮世絵ですでに使われていたものでした。わたしの手元にあるこの豊原国周(とよはらくにちか)の「開花人情鏡勇婦」
はちりめんにしたもので、平紙のものもあります。両者を比べるとちりめん版のものは特に着物が本物の生地のような風合いがいっそう際立ちます。なんといっても立体感・奥行き感が豊かになり、ふっと手を伸ばすとそのまま絵の中へ入っていけそうな感覚におそわれます。
長谷川武次郎さんのひ孫さんのお宅にはたくさんの作品や印刷物が現存していて、今後多くの方々に知っていいただけるような形を作りたいと、のぞんでいらっしゃるようです。ありあまる資金がわたくしにあれば喜んでお手伝いするのですが・・・残念です。
0 件のコメント:
コメントを投稿