2023年6月18日日曜日

箱入娘面屋人魚 その17

P8P9 国立国会図書館蔵

P8

(読み)

こゝ尓又 可ん多゛の八 丁  本゛りの

ここにまたかんだ のはっちょうぼ りの


遍ん尓つりふ年の平 次と

へんにつりふねのへいじと


いふものありつ年ニおきつりを

いうものありつねにおきつりを


可ぎやうニしてくらし个る可゛

かぎょうにしてくらしけるが


あるとき志奈川 おき尓て

あるときしながわおきにて


可ミをミ多゛せし女  の

かみをみだ せしおんなの


者けもの舩 中  へとびこミ

ばけものせんちゅうへとびこみ


何 可むしや\/ くらふ由へ

はにかむしゃむしゃくらうゆへ


きもを

きもを


つぶし个る可゛

つぶしけるが

(大意)

ここにまた、神田は八丁堀のあたりに

釣り船の平次というものがいた。つねに

沖釣りを家業にして暮らしていたが、

ある時、品川沖にて、髪を乱した女の化け物が

船中に飛び込み、何かむしゃむしゃ食っているので

肝をつぶした。が、

(補足)

「八丁本゛りの遍ん尓」、変体仮名「遍」(へ)、ちょっと「道」のくずし字ににています。

「つりふ年」「つ年二」、「年」のくずし字は「◯」+「ゝ」で英字「Q」のような形で変体仮名も同じような形です。

「何可むしや\/」、「何」のくずし字はよく出てくるのですけど、ちょっと苦手で悩むことが多い。

 前の頁からここをひらくと目に飛び込んでくるのがなんとも強烈。西洋の人魚は腰から上が人間で下は魚なので、まだ人間味がありますけど、ここのは首だけ人間で、あとはまったくの魚、目を何度もパチパチさせてしまいます。人面魚というのはここからはじまったのかもしれません。

 

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