P11 国立国会図書館蔵
(読み)
〽平 次人 魚 ハ奈尓をくふもの可
へいじにんぎょはなにをくうものか
志らざりし可゛やう\/
しらざりにが ようよう
思 ひ多゛しあ可本゛うふりを
おもいだ しあかぼ うふりを
と川てきてく王せる
とってきてくわせる
これ人 魚 と
これにんぎょと
金 魚 の
きんぎょの
まち可へ奈り
まちがえなり
〽王川ちや
わっちや
そん奈
そんな
ものハいや
ものはいや
らく可ん可
らくがんか
おこし可゛
おこしが
いゝよ
いいよ
とハ
とは
さす可゛
さすが
鯉(こい)の子の
こい のこの
志よく
しょく
このミ奈り
このみなり
(大意)
平次は人魚が何を食うか知らなかったが
やっと思い出し、赤ボウフラを取ってきて
食わせました。人魚と金魚を間違えてのことでした。
「わっちはそんなものはイヤ。落雁かおこしがいいよ」
という、さすが鯉の子は食通である。
(補足)
「奈尓をくふもの可」、「尓」と「ふ」がそっくり。文脈から読むしかありません。
「思ひ多゛し」、「思」のくずし字を「と」と読んでしまいました。確かにすぐ左隣の「と」と似ています。
踏み台をちゃぶ台にして向かい合ってボウフラを食わせているところは滑稽です。踏み台の飾り窓が金魚鉢のように見えるのは洒落でしょうか。舟にあがったお鯉を見たときから何かが変だと思っていたのですけど、お鯉の後ろ姿を見て気づきました。尾鰭はあっても背鰭・胸鰭・腹鰭や臀鰭がないのです。せめて腕代わりに胸鰭があれば格好がついたのにとは素人の鯉談義。
0 件のコメント:
コメントを投稿